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[MOM3573]三菱養和ユースFW洪怜鎭(3年)_サッカー大好きストライカーが、笑顔の2ゴールで勝利を手繰り寄せる

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自身2点目を決めた三菱養和SCユースのFW洪怜鎭が渾身のガッツポーズ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.29 高円宮杯プリンスリーグ関東第6節 三菱養和ユース 2-0 帝京高 三菱養和会 巣鴨スポーツセンターG]

 いつでも楽しそうにピッチで笑っている。ゴールを決めても、全力で掛けたプレスを外されても、苦しい試合終盤でも、その表情には笑顔が浮かぶ。「サッカー、メチャメチャ楽しいです。みんなでやると楽しいじゃないですか。苦しい時間帯ももちろんあるんですけど、サッカーってちょっと良いプレーがあったら、みんなで盛り上がれますし、そういうので笑っちゃいますね。『楽しい!』って(笑)」。

 サッカー大好きストライカー。三菱養和SCユースのナンバー10。FW洪怜鎭(3年=三菱養和巣鴨ジュニアユース出身)の2ゴールが、チームに今シーズン初のリーグ戦連勝をもたらした。

 先制点は前半9分。帝京高(東京)がディフェンスラインで組み立てていくビルドアップの過程で、GKへのバックパスが短くなる。「自分はスピードも持ち味ですし、あのバックパスは常に狙っているので、センターバックのバックパスが少し緩くなるなというところを狙って、ワンタッチで良い感じで押し込めて、アレは狙い通りのゴールだったのかなと思いますね」。洪のゴールが試合を動かす。

 ただ、この形のゴールはそうあることではない。「センターバックのバックパスってあまりミスしないじゃないですか。本当に確率は低いけれども、常に狙っていたらああいうこともあるので、自分は上手いわけでもないですし、チームのために走るということをずっとやってきたので、それが今日は出せて良かったなと思います」と自ら口にした通り、諦めない気持ちが呼び込んだ素晴らしい得点であったことは見逃せない。

 2点目は後半12分。MF嵯峨康太(3年)が蹴った右CK。相手のクリアが中央に流れると、落下地点を見極めた10番は、そのままダイレクトボレーを選択する。「最初は『ミートさせよう』『ちゃんと枠に飛ばそう』と蹴ったんですけど、当たった瞬間に『ああ、これは入ったな』という感じがわかりました」。軌道は左スミのゴールネットへ一直線に吸い込まれる。

「アレも10回やったら1,2回入るかぐらいのゴールの確率なので、入って良かったなと思います」。確率で考えれば、かなり難易度の高い2ゴール。「今シーズン初ゴールです。なかなか獲れずに苦しんでいたというか、ちょっとヤバいなと思っていましたし、『今年の10番大丈夫か?』って思われていたんじゃないかなって(笑)」。ようやく生まれた今季のプリンスリーグ初ゴールから、1試合2得点まで記録した洪の躍動が、チームに大きな勝ち点3をもたらした。

 背負った“10番”には、自分なりのこだわりがある。「やっぱり今まで中村敬斗くんとか栗原イブラヒムジュニアくんとか、そういう人たちが付けてきた番号で、活躍もしてきて、本当に『今年は自分が10番でいいのかな』という不安もあった中で、今年の最初はケガをしてしまって苦しい時期もあったんですけど、本当に今日はとりあえず点が獲れて、ちょっとだけ安心しています」。負傷で2度の離脱を余儀なくされたシーズン序盤を経て、ようやく爆発する準備を整えたことが、この日の2発に最高の形で繋がった。

 養和のグラウンドには幼稚園生の頃から通ってきた。そんな馴染み深いクラブでプレーするラストイヤー。気持ちが入っていないはずがない。「自分はお兄ちゃんも養和なので、何ならベビーカーに乗っているぐらいからかわいがってもらっていた生粋の養和っ子ですね。正直まだ最後の年という気はしないですし、最高のクラブなので、本当に離れたくないなって。なので、プリンスリーグからプレミア参入戦まで行って、最後はみんなで喜び合って終わりたいなって思います」。

「そこに貢献したいですね。楽しむだけじゃ意味がないですし、結果を残していかないと次のステージに立てないので、やっぱり結果にもこだわりつつ、ピッチに入ったら楽しくやっていけたらなと。フォワードは結果がすべてなので、点を獲ることも大事ですし、アシストも、チームのために走ることも大事なので、そこは意識してやっていきます」。

 攻撃の時も、守備の時も、この10番の笑顔はチームに活力をもたらす。サッカー大好きストライカー。洪は残された養和での時間を、全力で駆け抜ける。

(取材・文 土屋雅史)
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