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[MOM3578]修徳MF福田大翔(3年)_蹴れて走れるボランチは元Jリーガーの叔父と同じステージを目指す

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修徳高の司令塔を任されたMF福田大翔

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.12 高円宮杯東京2部リーグ第9節 東海大高輪台高 0-2 修徳高]

 この日も2ゴールを生み出した右足の精度はもちろんだが、1試合を通じて走り続けることのできる運動量も驚異的。常に試合に関われるボランチとして、今年のチームには欠かせないメインキャストに成長を遂げてきた。

「後ろからのビルドアップに関わるところとか、パスの精度は磨いているところですし、昔から結構走れていたので、そこにも自信はあります」。修徳高の8番を背負う司令塔。MF福田大翔(3年=フレンドリージュニアユース出身)の個性は、日々輝きを増している。

 先制ゴールを呼び込んだアシストは前半9分。右CKのスポットに立つと、アウトスイングでファーまで蹴り入れた鋭いボールは、DF富樫匠(1年)の頭にドンピシャで届き、ゴールネットが揺れる。実はその5分前。左CKをこちらはインスイングで福田が蹴っていたが、“1本目”の反省がこのシーンに繋がっていたという。

「1本目はニアに突っ込む選手に合わせるつもりで蹴ったんですけど、ちょっと遠くに行っちゃったので、2本目で合わせるところを変えました」。“1本目”はニアサイドでFW大畑道喜(3年)の飛び込みへ合わせたものの、少しボールが流れたことでGKのパンチングに遭っていた。それを受けた“2本目”の狙いはニアではなくファー。「コーナーも昨日みんなで確認して、中に入る人とも話して、『どこらへんに蹴ればいいか』とか話していたので、思い通りに行って良かったです」という福田の機転が、チームに1点のリードをもたらす。

 後半には追加点のチャンスを、自らの積極性で手にする。30分。大畑がペナルティエリア内で仕掛けて奪ったPK。「最近の紅白戦でPKを外していたので、練習してきていて、キッカーは森田か僕なんですけど、今日は『自分で蹴りたい』と言いました」という福田はボールを抱え、スポットに歩み寄る。

「『自分で蹴る』って決めていたので、自信もありました」。左スミを狙ったキックは、GKの伸ばした手も届かない絶妙のコースを辿り、ゴールネットへ突き刺さる。「最近になって紅白戦でもシュートを結構決められるようになってきて、ボランチからゴールを決めるって結構大事なことだと思うので、そこも意識してやっています」。この日はPKではあったが、貴重なゴールを記録。終わってみれば1ゴール1アシストの活躍で、勝ち点3の獲得に大きく貢献してみせた。

「見ている所もいいですし、クーパーでも3600メートルぐらい走れていて、そういうポテンシャルは持っていたんですけど、ちょっと埋もれてしまっていて、去年も試合には出ていなかったんですよね」と吉田拓也監督が話したように、1,2年生の時はなかなかトップチームの公式戦に絡めなかったが、「試合に出れなかった分、自分の代でしっかり試合に出るために、2個上や1個上の試合を見て結構勉強したりして、今ここに立っているので、そういう学んできたことをプレーに生かしたりしています」とのこと。地道に練習を重ね、イメージしてきたことが、3年生になって開花しつつあるようだ。

 聞けば福田の叔父は、元Jリーガーで日本代表招集歴もあり、現在は横浜FCのテクニカルダイレクターを務める福田健二氏。父親とその弟に当たる健二氏からは、サッカーのこともいろいろ教わってきたという。

「プレースタイルは全然違うんですけど、叔父と同じ舞台には立ちたいとは思いますね。小さい頃はお父さんから結構熱心にサッカーのことを言われていて、それで成長もできたと思いますし、たまに叔父と会った時には『最近どうなの?』とか聞かれたりして、コミュニケーションは取っています。叔父は横浜FCで仕事をしていて、将来的にそういう舞台に行けたらいいなと思いますけど、今のままでは厳しいと思うので、自分で努力して頑張っていきたいと思います」。

 修徳で過ごす日々ももうあとわずか。ここからの課題も、目標も、明確だ。「課題は守備の部分で、そこは結構監督にも言われていたんですけど、トレーニングで修正しながら、選手権に向けて練習していきたいですね。選手権では東京を制覇して、全国で勝てるチームになれたらなと思います」。

 蹴れて、走れて。間違いなくポテンシャルはある。今は自分に使われる『福田健二の甥』というフレーズよりも、『福田大翔の叔父』というフレーズが常に叔父に付いて回るような未来のために、福田は自分の武器を真摯に、武骨に、磨き続けていく。

(取材・文 土屋雅史)

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