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[MOM3660]尚志DFチェイス・アンリ(3年)_自らのゴールで掴んだ選手権切符。“怪物”証明し、“日本の宝”に

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尚志高のU-22日本代表CBチェイス・アンリが攻守で躍動。劇的な決勝点を決めた

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.7 選手権福島県予選決勝 尚志高 2-1 学法石川高 西部サッカー場]

 夏にはできなかったチームを勝たせること。“日本の宝”にもなる可能性を秘めたU-22日本代表CBチェイス・アンリ(3年=FC湘南Jrユース出身)が、自らのゴールで尚志高を選手権へ導いた。

 1-1の後半40+2分、尚志はカウンターからMF草野太貴(3年)が右サイドを突破。得点の匂いを嗅ぎつけたアンリは「最後走らないといけない」と自陣ゴールエリアから約80mの距離をスプリントした。

 アンリからの声に反応した草野が中央へラストパス。緩いパスをコントロールしたアンリは「相手が足を出すと思って」DFのタイミングをズラすと、左足を振り抜き、ゴール右隅へねじ込んだ。

 自分でも「びっくりした」という決勝点。夏のインターハイ初戦は0-0からのPK戦の末に敗れ、「自分もセットプレーとかで点を決めないと行けないな」と実感していたという。前日の準決勝はチャンスでシュートを外してしまっていたが、この日は勝負を決める選手になってきたことをゴールで証明した。

 本人は「(80m走って決めるのではなく、)セットプレーでもっと簡単に決めたいです」と笑う。この日、守備面ではマークのズレなどもあったが、空中戦で競り勝ち続け、相手の仕掛けを一発でストップ。流れが悪い時間帯に一人で守っているような動きも見せていたCBは攻守両面での活躍によって、「全てにおいて、この尚志のおかげで自分が成長して、本当に感謝しています」という尚志に100回大会の選手権切符をもたらした。

 仲村浩二監督はU-17日本代表で“一番下手”という位置から成長を続け、U-22日本代表の先発を務めるまでなった教え子について「彼もなんだかんだ言って17歳だし、勘違いしないように」気を遣いながら指導。ただし、彼はどんなに周囲から注目されても慢心することはなかった。

「彼はまだまだ下手と自分では言っていて、だから努力することができる」(仲村監督)。昨年から今年に掛けて怪我に苦しんだ時期も。現在も技術ミスをしたり、隙を見せたりすることがある。だが、指揮官の助言に聞き耳を持ち、課題について一緒になって改善しようとしてきた。

 そして、周囲も驚くほどの成長。仲村監督は「“日本の宝”を預かることができる幸せ。世界にもしかしたら本当に出せるかもしれない。ワクワクします」。元日本代表DFで、ロールモデルコーチとしてU-22日本代表に帯同した内田篤人氏が「もう…とんでもない化け物でございます」(DAZN『内田篤人のFOOTBALL TIME #56』より)とコメントするほどの才能が、選手権で“怪物”に相応しい活躍をし、さらなる成長を遂げることを指揮官は期待する。

 アンリは選手権で戦いたい相手について、「松木玖生とやりたいです。ぶっ潰したいです」。この日、選手権青森県予選で25連覇を果たしたインターハイ王者・青森山田高MF松木玖生主将(3年)はアンリが初招集された昨年2月のU-17日本代表や、今年10月のU-22日本代表でチームメートに。「尚志、マジで全国行けよ」とエールを受け、福島県予選突破を決めたアンリは、選手権で松木擁する青森山田を倒すこと、そして日本一を目指す。「チームの練習でもっと強くなって、プレミア(リーグ)参入戦もプレミアに上げて選手権に臨みたい。(選手権は)最後の大会なので、みんなと全国制覇できるように頑張ります」。仲間たちと尚志の歴史を塗り替えて、世界へと羽ばたく。

後半アディショナルタイムに決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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