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目標、注目選手は?選手権出場6校の指揮官が近畿地区代表校共同記者発表会に出席

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前列左から東山高・福重良一監督、滝川二高・亀谷誠監督、阪南大高・濱田豪監督。後列左から近大和歌山高・藪真啓監督、草津東高・牛場哲郎監督、奈良育英高・梶村卓監督

 12月3日、第100回全国高校サッカー選手権大会の近畿地区代表校共同記者発表会が、大阪府の読売テレビで開催され、代表校の監督が意気込みを語った。

 滋賀県代表の草津東高は2年ぶり12回目の出場。綾羽高との予選決勝では試合終了間際の同点ゴールで追いつき、延長戦の末、全国行きの切符を掴んだ。牛場哲郎監督は「やるべきことをしっかりやってくれたおかげでチームがまとまってくれた。予選は総力戦だと常々話をきたが、交替で入った選手が活躍してくれたのも大きかった」と振り返る。1回戦で当たるのは日本一の経験を持つ前橋育英高(群馬)だが、過去2大会連続で青森山田高(青森)と対戦し、強豪との対戦には慣れている。

 守勢に回る時間が増えると予想される中、「左利きで攻撃的な選手。運動量が多くて、身長を活かした得点も獲れる」(牛場監督)MF田中将大郎(3年)の活躍が鍵を握りそうだ。「全国トップクラスのチームと対戦出来るのを誇りに思い、ベスト8以上を目指したい」と牛場監督は意気込みを口にした。

 京都府代表の東山高は、予選5試合で20得点1失点と他を寄せ付けない勝ち上がりを披露し、3年ぶり4回目の出場を掴んだ。インターハイの優秀選手に選ばれたMF阪田澪哉(2年)やMF真田蓮司(2年)らが注目を集めるが、「得点する選手が色んなポジションから生まれた。一人に頼らずに戦えるようになった。全選手が注目選手」(福重良一監督)。交替選手の活躍も含めて、全国への準備は進んでいる。

 一方で、福重監督が「コイツに任せておけば(点が)獲れるんだ、決定的な仕事をしてくれるんだという選手が出てきて欲しい」と続けるように頼れるエースの台頭も待たれる。「初戦を大事にして、しっかり勝つ。生徒たちとそこに全精力をかけて頑張り、近畿勢と対戦したい」(福重監督)。

 激戦区である大阪府を勝ち抜き、6年ぶり2回目の出場を果たしたのが阪南大高。毎年、在籍する選手の特徴に合わせたサッカーを展開するが、今年はJ1湘南内定のFW鈴木章斗(3年)を起点とした攻撃を仕掛ける。これまでは鈴木に頼る部分が大きかったが、予選ではサブのDF鮎川岳叶(3年)らがゴールをマークし、「ヒーローになる選手が複数出てきたのが、チームとしての収穫」(濱田豪監督)。

 前回出場時は開幕戦で駒澤大高(東京)に1-2に敗れたため、今回はひとまず前回越えが目標。濱田監督は「6年前の初出場した際は、開幕戦を引いてどこよりも早く帰ったので、とにかく初戦突破に全ての力を注ぎたい。予選決勝でパナソニックスタジアムという素晴らしいスタジアムでプレー出来た経験を糧にしたい」。

 和歌山県代表の近大和歌山高は前監督の川合廣征校長が指揮を執っていた2008年度以来12年ぶりとなる選手権出場。就任7年目の藪真啓監督にとっては悲願の晴れ舞台に立つことになった。これまでは選手を勝たせようと藪監督が誰よりも意気込んでいたため、緊張感が選手に伝播し、思い通りのプレーが出来ずに敗れていた。

 しかし、今年は阪南大高・濱田監督から受けた「選手をノビノビプレーさせるのが大事」との言葉を受け入れ、自然体で挑んだ結果が県を制する要因になったという。予選では藪監督が注目として挙げるFW藤木皇成(3年)が全試合でゴールをマーク。中盤にも展開力とロングスローで見せ場を作れるMF畑下葵(2年)がいる。初戦で当たる流通経済大柏高(千葉)は難敵だが、自分たちの力を出せれば白星も十分狙える。「予選決勝6回目で初めて選手権に出る事が出来た。初出場と同じような状況なので、思い切って流経柏にぶつかりたい。一戦必勝のつもりで挑みます」。

 21度の出場を誇り、2010年度には日本一に輝いた経験も持つ滝川二高(兵庫)だが、選手権出場は4年ぶり。OBで就任2年目の亀谷誠監督にとっては初めての選手権で「初出場みたいなものだが、兵庫県の代表として出るので、しっかり頂点を目指したい」と口にした。PK戦での勝利となった予選準々決勝の関西学院高以降は、いずれも接戦を制する形となったが、「厳しい大会を勝ち上がり、選手が自信を掴んだ」(亀谷監督)のは大きな収穫。指揮官が就任以降、取り組んできたポゼッションスタイルをプレッシャーがかかる状況でも臆することなく、発揮できるようになった事や、亀谷監督が注目選手として挙げるMF藤田仁朗(3年)の活躍もプラス材料だ。

「県大会では色んな方々に手伝ってもらって予選が出来たので、感謝の気持ちをプレーで示したい。見て頂ける方々にサッカーって良いな、勇気を貰ったと言って貰えるような試合がしたい」。亀谷監督の言葉通り、“タキニスタイル”を全国でも示し、結果ともにファンを増やすのが目標だ。

 奈良県勢最多となる14度の選手権出場を誇る奈良育英高だが、全国への出場は10年ぶり。OBで就任1年目の梶村卓監督は「10年ぶりなので、初出場と同じ気持ち」と話す。今年の県リーグでは試合を優位に進めながらも、試合終盤の失点により引き分けで終える試合が目立ったが、予選を通じて粘り強さが出てきた。また、主将のDF千田陽介(3年)の左足からセットプレーでの得点が増えたのも収穫だ。

 予選を終えた直後に行ったプリンスリーグ関西プレーオフでは選手、スタッフの経験不足が露呈した」(梶村監督)ため、大阪学院大高(大阪)に大敗。自分たちを見つめ直す良い機会に出来るかが全国の鍵となる。梶村監督は「力がまだまだなので、伝統である全員攻撃全員守備に磨きをかけたい。そこを修正できないと全国では勝てない。1つ勝てば阪南大高さんと対戦できるよう頑張っています」と意欲を話した。

 近畿勢のベスト4は2016年度の東海大仰星高(大阪、現東海大大阪仰星高)、決勝進出は2012年度の京都橘高(京都)、優勝は10年度滝川二高(兵庫)がそれぞれ最後。歴史を塗り替えるチームが現れるか、注目だ。

(取材・文 森田将義)
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