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風雨で“割り切った”東海学園大がインカレ初戦突破! 東海勢としての目標4強へ「なんとか風穴を開けられれば」

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割り切りながらも随所に技術の高さも見せていた東海学園大

[12.8 全日本大学選手権1回戦 仙台大 0-1 東海学園大 浦安市]

 第70回全日本大学サッカー選手権(インカレ)が8日、首都圏各地で開幕した。浦安市陸上競技場での1回戦第1試合は東海学園大(東海1)が仙台大(東北)を1-0で下し、前回大会の2年前に続いて初戦突破。シード権を得ている駒澤大(関東2)が待つ2回戦への進出を決めた。

 東海王者と東北王者による1回戦屈指の好カード。試合の命運を分けたのは、厳しいピッチコンディションへの適応力だった。

 東京ディズニーリゾートからほど近い海沿いに位置する浦安市陸上競技場ではこの日、試合前から続いていた大雨の影響により、人工芝ピッチのいたるところに水溜まりが発生。加えてフィールドを縦断する海風も吹き荒れており、ボールを大きく押し流していた。

 そうした中、前半風上エンドを取った東海学園大は代名詞のパスワークをあえて捨てることを決断。「みんなで割り切って、勝つということを目標に、できることをやっていこうと話していた」とFW榎本啓吾(4年=千葉U-18/藤枝内定)が振り返ったように、キックオフ直後からロングボールを連発し、風下で苦しむ仙台大守備陣を一気に追い詰めていった。

 すると前半3分、早くもこの狙いが功を奏した。ロングボールの蹴り合いで生まれたセカンドボールをDF舌古圭佑(2年=名古屋U-18)がヘディングで押し返し、これを受けたMF福田望久斗(4年=中央学院高/鹿児島内定)がドリブルで敵陣に攻め込むと、ミドルレンジから左足を一閃。風に乗った鋭いシュートがネットに突き刺さり、先制点を奪った。

 仙台大にとっては大きく想定を崩される失点。「東海学園さんは技術の高いチームなので、全国大会の相手が決まったところから準備を重ねてきたが、なかなか通用しないピッチ状況と天候のところで、当初のゲームプランとは別のものになってしまった」(飛奈洸太監督)。前半10分にはFW阿部遼海(3年=北海高)がヘディングでファーストシュートを放ったものの、単発に終わった。

 東海学園大はその後もMF井堀二昭(2年=静岡学園高)のプレースキックでチャンスを連発。強風による微妙なボールのズレから追加点には至らなかったが、一方的に試合を支配していた。また相手を押し込んだ場面では榎本、福田が高い技術を生かしたパスワークも披露。細かくボールを浮かせたり、足裏を使って動かしたりと、日頃の積み上げも随所に感じさせていた。

 苦しくなった仙台大は後半開始時、左サイドバックのDF橿渕佑斗(4年=宇都宮白楊高)に代わってフィジカルに強みを持つFW佐々木翔(2年=横浜FCユース)を最前線に起用。風上も活かしつつシンプルな攻撃に比重を傾けた。すると前線にポイントができたことでFW得能草生(2年=青森山田高)のドリブルも活きるようになり、試合は均衡した展開へと向かっていった。

 それでも東海学園大は後半21分、ダイナミックな展開から途中出場のMF伊藤拓巳(3=中央学院高)が右サイドを駆け上がって決定的なシュート。GK高橋優仁(2年=FC東京U-18)の正面を突いたが、「ボールを保持して最後やりきれないというのが全国の課題だった」という過去の反省を受け、インカレに向けて「新たなトライ」(安原成泰監督)として準備してきたカウンター攻撃も披露した。

 そのまま試合はタイムアップ。自分たちのスタイルを出せないながらも、仙台大をシュート1本に抑え込んだ東海学園大が2回戦進出を決めた。

 東海学園大にとって、今大会の目標はベスト4。安原監督は「最近はなかなか結果が出せていないので、東海の第一代表として8つ、4つの枠に入っていけるようにしたい。われわれの目標というより、地域の目標になりつつある」と東海勢としての意気込みを見せる。

 東海学園大にとって2013年以来となるベスト8入りを争う2回戦の相手は初戦シードの駒澤大。指揮官は「力のある選手ばかりなので、耐えるところはしっかり耐えて、われわれの良さであるボールを握って仕掛けるところなのでそれが随所に出るようにしたい。そして取り組んできたショートカウンターをうまく出して、なんとか風穴を開けられれば」と展望を語った。

(取材・文 竹内達也)
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