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[MOM3718]近大和歌山GK後迫海吏(3年)_強豪からの失点は覚悟の上…最少失点で守り、渾身のPKストップ

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近大和歌山GK後迫海吏(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.29 選手権1回戦 流通経済大柏高 1-1(PK4-5)近大和歌山高 フクアリ]

 強豪から19本のシュートを打たれたが、近大和歌山GK後迫海吏(3年)が許した失点は序盤の1点のみ。その後はゴールを守り切ると、味方が同点ゴールで後押しする。PK戦では本領を発揮。「自分を信じて、駆け引きした」。流通経済大柏高の1人目のキッカーのシュートを防ぎ、PK戦で勝利を引き寄せた。

 近大和歌山は、流経大柏に終始圧され続けたが、ふたを開ければ失点はひとつ。ピンチを防いだのは守護神だった。「攻められるだろうなって思っていた。(味方が)コースを防いでいたので、あと自分が止めるだけ」。前半14分には、サイドから鋭いクロスを上げられ、MF小西脩斗(2年)にヘディングシュートを打たれるが、後迫が好反応のジャンプでボールをはじき出す。

 その後もピンチは続くが、選手たちの心は折れない。支えになっていたのは、藪真啓監督の言葉だ。指揮官は試合前から「1失点はある」と選手たちに釘をさしていた。強豪ひしめく千葉県を制した流経大柏に1失点はするだろう。後迫も「藪先生の言葉で、心の余裕を持てた。いつもみたいな自分のプレーができたと思っています」と振り返る。

 耐えた近大和歌山は、後半24分にこの試合2本目のシュートを放つ。FW藤木皇成(3年)が左サイドからクロスを上げると、FW谷口金太郎(3年)がヘディングシュート。それが待望の同点ゴールとなった。

 試合は1-1の振り出しに戻り、80分間で決着はつかず。PK戦に突入する。調子が上がっていた守護神の様子を見て、指揮官は「1本は必ず止めてくれると信じていました」。後迫は流経大柏1本目のキッカーと相まみえると「自分を信じて、駆け引きした」と明かす。

「左に一回揺れたんですけど、右に来るだろうなと飛んで、当たった。そこは自分を信じてよかったです」

 後迫が防いだ1人目は、流経大柏キャプテンのMF渋谷諒太(3年)。キーマンを防ぐことで流れを引き寄せた近大和歌山は、PK接戦を5-4で制す。和歌山県勢11年ぶりとなる選手権初戦突破を果たした。

 劇的勝利を手にした近大和歌山は31日に2回戦を控える。「まずは一戦必勝。まず流経さんを倒すことだけを考えて臨んだので、まだ次の試合まで考えていない」(後迫)。直後の試合結果により、次戦の対戦相手は静岡学園高(静岡)に決まった。またしても相手は強豪。しかし、後迫がゴールを割らせなければ、負けることはない。

(取材・文 石川祐介)

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