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総体4強の星稜は初戦敗退…主将DF中村実月は負傷交代に涙「つめてきたつもりになっていた」

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星稜の主将であり守備の要のDF{中村実月}}(左)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.29 選手権1回戦 星稜高 2-4 高川学園高 ニッパツ]

 今年度の選手権で注目のCBのひとりだった星稜高(石川)のDF{中村実月}}(3年)は、ピッチの外で敗戦の笛を聞いた。

 昨年度の選手権では、2年生ながら背番号5を与えられてレギュラーに。初戦でPK方式の末に涙をのんだが、中村はフル出場を果たした。3年生となった今夏のインターハイでは、主将として、守備の柱として、チームをまとめあげて4強入りに貢献。自身は優秀選手にも名を連ねた。

 迎えた冬の選手権初戦、高川学園高(山口)。セットプレーで開始8分に先制を許すも、前半終了2分前にMF{河合伸悟}}(3年)が同点として後半へ。しかし、後半10分に再びリードを奪われてしまう。残り30分で、同点、逆転を目指すチームに、アクシデントが発生する。大黒柱の中村が負傷交代を余儀なくされたのだ。「キャプテンがああいう形で退場してしまった」。河合伸幸監督も予期せぬ事態に不安を覚えた。

 中村は、サガン鳥栖U-15から星稜への進学を「自分が誘いました」という盟友であり、CBでコンビを組んでいる、DF井上陽向大(3年)に、キャプテンマークを渡した。そして、「いままで苦しいゲーム展開でも返してきた」仲間たちへ勝利を託し、ピッチを後にした。主将の願いが通じ、星稜は途中出場のFW山下陸(2年)が起死回生の同点弾。終了7分前に2-2としたが、ラスト2分で立て続けに2点を献上し、2-4での敗戦となった。

「足がつってしまって情けない結果で終わってしまったのは、後悔が残っています」。試合後に挨拶を終えてピッチから引き上げる際には、涙に暮れて歩くのもままならない状態だった中村だが、試合終了から1時間ほどしてオンラインでの取材に現れた際には、目をはらしながらも気丈に言葉をつなげていく。

「(インターハイの)ベスト4に満足しなかったですし、チームの合言葉で、『全国をとる』と言ってきた」と、選手権に懸けてきた。敗戦を前に「苦しい時間帯で声が出ないとか、苦しいときに最後のワンプレーが甘かった。つめてきたつもりになっていた」と顧みた。

「『お前がキャプテンをやってよかった』と思われるように、練習から意識していた」という中村。後輩たちには「この舞台に帰ってこいというよりは、全力でサッカーを楽しんで、結果として選手権を目指してほしい」と、願いを込めた。

(取材・文 奥山典幸)

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