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[MOM3765]東北学院FW渡邉幸汰(2年)_高さと速さ、威力十分のシュートも兼備。成長中の大型FWが延長V弾

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東北学院高の大型FW渡邉幸汰は決勝点をマーク

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.31 東北高校新人選手権準決勝 花巻東高 0-1(延長)東北学院高 Jヴィレッジ]

 日本代表GKシュミット・ダニエルを輩出している伝統校からスケール大きなストライカーが現れた。東北学院高(宮城1)のFW渡邉幸汰(2年=東北学院中出身)は、登録身長184cm、75kg。シュミット・ダニエルの恩師でもある橋本俊一監督が、「スピードもあって両足蹴れるし、収まるし、というところで楽しみな選手なのは間違いない。あれはちょっと将来楽しみな選手です。ちょっと規格外というか、東北の中ではずば抜けている選手じゃないかなと」と期待を寄せる大器だ。

 今回の東北新人戦は東奥義塾高(青森3)との初戦で2ゴール1アシストの活躍。そして、初の決勝進出を懸けた準決勝・花巻東高戦では中へ切れ込んで左足を振り抜いたり、ゴール前の混戦からシュートへ持ち込んだりするなど一人でシュート6本を放ち、延長後半に右足で決勝点を叩き出した。チームメートが涙するほどの値千金の一撃。「自分でも良かったと思う」というゴールでチームの歴史を塗り替えた。

 シュートの威力、シュートレンジの広さは自信を持つ武器だ。「シュートの威力は高校に入ってから通じるなと思った」と渡邉。高校では1年時の県新人戦まで右SHでプレーし、カットインから左足シュートを放っていたことで左足のシュート力がさらに向上した。ゴールへの姿勢も魅力。「ゴール見えていたらすぐ打つというのは小学生の頃から言われていて、意識しています」というように、ゴールが見えたら迷わず足を振り、相手ゴールを脅かしている。

 1年時のU-16全国大会でJクラブのスカウトも関心を寄せ、その後東北新人戦でもゴールを決めるなど活躍した。昨年12月には、その後インカレで優勝する駒澤大に練習参加。FW土信田悠生(現熊本)やFW宮崎鴻(現栃木)から刺激を受けた。「同じポジションにJリーグ内定選手がいて、同じ身長だったんですけれども、身体の付き方が全然違っていたり、決める精度も全然違っていて、こっち来てからそれを意識してやっています」。

 高校生の間にプロ内定FWのレベルまで力を引き上げたいという考えを持っていたが、現状ではまだまだ差があることを実感。それでもこの1年、ベンチプレスや「弁当プラス学食」といった意識高い体作りで約5kg増量してきた渡邉は、さらに肉体を強化し、強豪校相手でもボールを収めて決め切るFWになる。

 橋本監督は選手権得点王の阪南大高(大阪)FW鈴木章斗(現湘南)のように、ヘディングするような浮き球を胸で収めることを要求。練習から取り組んできたが、尚志高(福島1)との決勝ではなかなか前線で起点になることができなかった。

 本人は「(ボールを収めることに加え、)自分からプレスを掛けたり、ワンチャンスをものにしていかないといけない」と反省する。この悔しさをバネに、感覚を掴み始めている胸トラップやシュートをどこまで高めて行けるか。「(今年の目標は、)個人としてはまずインターハイで、1試合1得点で優勝という形にしていきたいし、チームは全国に出て勝てるチームを目指さないといけない。今回尚志に負けましたけれども、選手権とか、インターハイでリベンジできたら良いなと思います」。大型ストライカーは貪欲に成長を遂げてインターハイ、そして87年度以来となる選手権へチームを導き、全国で決めて勝つ。

(取材・文 吉田太郎)

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