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懸ける思い、「熱」は「誰よりもある」。GK吉田優翔が日本高校選抜の先発奪取、デンチャレ出場へ

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GK吉田優翔(桐光学園高3年→産業能率大)は日本高校選抜の先発を勝ち取り、デンチャレで大学選抜を封じ込む

 日本高校選抜で試合に出ることへの思いを今、最も強く抱いているプレーヤーだ。GK吉田優翔(桐光学園高3年→産業能率大)は、「ここまで1試合も出れていないので、その悔しさというか、熱というのは誰よりもあると思う。そこは負けない」と力を込める。

 吉田は第100回全国高校選手権で桐光学園の8強入りに貢献した守護神。神奈川県予選からチームを救うセーブを見せていたGKは、全国大会でも2試合連続でPK戦を制すなど活躍し、選考合宿を経て日本高校選抜入りを果たした。

 選考合宿ではまだ「(日本高校選抜という)実感がなかった」と振り返るが、ストロングポイントのシュートストップはU-19日本代表候補に選出されているGK佐藤瑠星(大津高3年→筑波大)と比べても遜色がないほどだ。

 小学5年時にGKを始めた吉田は、「GKコーチじゃなくて普通のコーチに『オマエ、反射神経があるから』と言われてGKを始めたので、その時からボールを結構止めれる方だった」という。サイズではなく、その反射神経を評価されてGK生活をスタート。身長が182cmまで伸びたGKは、その鋭い反応や安定したキャッチングが高体連トップレベルにあることを日本高校選抜でも実証している。

 ただし、ここまでは日本高校選抜で出場機会を得られていない。大学生との練習試合ではビッグセーブや安定した力を発揮し、佐藤にも負けないようなプレーを見せてきたものの、2月12日の「NEXT GENERATION MATCH」(対川崎U-18)はベンチ。横浜FMジュニアユース追浜出身の吉田にとって、横浜FMのホーム・日産スタジアムでの試合は特別なゲームで「出て勝ちたかった」が出場は叶わなかった。

 また、卒業式翌日だった3月6日の「第37回静岡県ヤングサッカーフェスティバル」(対静岡県ユース選抜)も出場が見送られ、佐藤や後輩GK鮎澤太陽(尚志高2年)がプレーする姿を悔しい思いで見つめることになった。それだけに、今月9日開幕の「第36回デンソーカップチャレンジサッカー福島大会」(Jヴィレッジ)へ向けて、佐藤や鮎澤との競争で「追い付いてどう追い越せるかに着目して頑張りたい」と誓う。

 キック含めて安定感の高い佐藤、そして堂々のプレーを続ける鮎澤。2人を上回るため、トレーニングから自信を持って縦パスを入れ、セーブ力を発揮していく考えだ。日本高校選抜では平田俊英GKコーチ(聖和学園高)の指導の下、シュートを止めた後の起き上がりが「速くなった」と実感。チャンスを掴み、選抜チームで磨いた力も大学生との公式戦で発揮する。
 
 吉田は最高学年になってから桐光学園のポジションを掴んだ選手だ。1学年上には、1年時から先発を務め、2年時にインターハイ制覇を果たしているGK北村公平(現早稲田大)とU-16日本代表候補歴を持つGK桃井玲(現新潟医療福祉大)という2人の注目GKがいた。

「自分、1年生から公平君と桃井君の下で3人で練習してきたので、公平君であれば足元の部分を学ばせて頂いたり、桃井君はシュートストップが凄いなと思っていました」。桃井のすぐ後ろに立ち、シュートに対して片手で行くのか、両手で行くのか、跳躍する前の予備動作からチェック。彼らの強みを自身の成長に結びつけてきた吉田は、2人の卒業による不安をプレーで一掃し、彼らが届かなかった日本高校選抜へ上り詰めた。

 日本高校選抜でもデンチャレ期間中に先発を勝ち取り、評価を高めて「グラウンド2つあるけれど、どっちにもGKコーチがいる。グラウンドの環境と先輩も優しいので」進学を決断したという産業能率大へ。大学1年生から試合に出続けて関東2部から1部へ引き上げ、関東制覇、そしてプロという目標を持つシュートストッパーが、日本高校選抜の守護神として大学選抜の前に立ちはだかる。

(取材・文 吉田太郎)
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