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FC東京内定MF荒井悠汰が2発!FC LAVIDA出身11人が先発の昌平、注目対決を3-0快勝!

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前半15分、昌平高はFC東京内定の10番MF荒井悠汰が左足シュートを決めて2-0

[4.9 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第2節 昌平高 3-0 帝京高 昌平高G]

 注目レフティーが“開幕戦”で2発!6年指導の強みも示した昌平が快勝――。高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2022 関東1部は9日、第2節を行い、昌平高(埼玉)と帝京高(東京)が対戦。昌平がMF長準喜(2年)の先制点とFC東京内定MF荒井悠汰(3年)の2ゴールによって3-0で快勝した。

 ともに前評判の高く、NEW BALANCE CUP(通称:裏選手権)で両校優勝(雪で30分1本、0-0)した2校による注目カードは昌平が制した。前節が延期となり、この試合がリーグ戦初戦の昌平は4-2-3-1システムで、GK上林真斗(3年)、4バックは右SB上原悠都(1年)、CBがU-17日本高校選抜DF津久井佳祐主将(3年)とU-17日本代表DF石川穂高(2年)、左SB武村圭悟(3年)。中盤は佐藤海空斗(3年)と佐々木小太朗(3年)のダブルボランチで、トップ下が長、右SHがすでにルヴァンカップでFC東京のトップチームデビューしている荒井、左SHがU-17日本高校選抜MF篠田翼(3年)、1トップに鄭志錫(1年)が入った。先発11人全員が系列の育成組織、FC LAVIDA(ラヴィーダ)出身。「(先発11人がLAVIDA出身は)おそらく初めて」(藤島崇之監督)というメンバーで強豪対決に挑んだ。

 一方の帝京は大半が下級生から公式戦を経験しているメンバー。4-2-3-1システムのGKは{{川瀬隼慎}(2年)で右SB並木雄飛(3年)、CBが{{梅木伶}(2年)と大田知輝(3年)、左SBがU-19日本代表候補DF入江羚介(3年)。ダブルボランチが押川優希(3年)と{{田中遥稀}(3年)で、右SH{{松本琉雅}(3年)、左SH橋本マリーク識史(3年)、トップ下が主将の伊藤聡太(3年)、1トップを注目FW齊藤慈斗(3年)が務めた。

 立ち上がり、昌平が素早いパスワークと2列目のドリブラーたちの突破力で優位に立つ。2分、注目の荒井がドリブルでDFを外して右足シュート。5分にも荒井のドリブル突破がチャンスに繋がった。序盤、その荒井以上に目立っていたのが長だ。小さなチャンスメーカーは、中盤中央から繰り返しドリブルにチャレンジ。DFを剥がし、チームを前進させていた。

 そして14分、その長がドリブルでバイタルエリアへ抜け出す。帝京のCBが対応したが、競ったボールが裏へこぼれて長が独走。そのままGKとの1対1を右足シュートで制し、1-0とした。

 さらに15分、昌平は右サイドで後ろ向きにボールを処理した帝京DFから荒井がインターセプト。「あとはゴールしか見えていなかったです」という10番が、ドリブルから得意の左足を振り抜く。強引に打ち切ったシュートはDFに当たってコースが変わり、そのままゴールイン。連続ゴールで昌平がリードを2点へ広げた。

 落ち着いて反撃する帝京は19分、左CKがファーへ流れたところを齊藤が頭で狙うも、昌平DFがブロック。帝京は直後にも伊藤がカットインから右足を振り抜いたが、これも昌平DFがブロックする。

 帝京は2点を失った後、ボール奪取力の高さを見せていた押川やパス成功率が非常に高い入江、伊藤、松本が小さなスペースを活用しながらテンポ良くパスを繋いで前進。攻守に距離感の良さを見せていたが、昌平は違いを示す荒井が28分、32分と絶妙なスルーパスで決定機を演出する。篠田の推進力ある動きや、抜群のスピードを持つ武村の攻撃参加も印象的だった。

 前半は2-0で終了。津久井はLAVIDA出身選手11人が先発したことについて、「LAVIDAで仕込まれたプレスの仕方とかみんな一緒なので良い掛け方でボールを取れるところもあったのでやりやすい部分がありました」と振り返る。LAVIDAと昌平で個性を磨かれた選手たちがチームとしても連動。1年生右SB上原がボール奪取力を披露するなど下級生も堂々の動きを見せていた。好守から決定機を増やした昌平は後半立ち上がりにも右クロスに鄭が飛び込むが、追加点を奪えず、流れを帝京に掴まれてしまう。

 帝京は後半8分、中盤から持ち上がった押川の弾丸ミドルがクロスバーをヒット。昌平の中盤が間延びしたこともあり、帝京がボールを握って攻め続ける。強さと巧さが特長の齊藤や後半に攻撃参加の回数を増やした入江、押川中心に反撃。両SHを前野翔平(3年)、山下凜(3年)へ入れ替えて追撃ゴールを目指し、並木がインターセプトからドリブルシュートへ持ち込むシーンもあった。

 昌平は後半11分に左SB三戸翔太(3年)を投入し、33分にはU-17日本代表FW小田晄平(2年)とMF土谷飛雅(2年)をピッチへ送り出す。その直後には、GK上林のパントキックから小田がゴールマウス直撃の右足シュート。帝京もMF藤崎巧士(3年)とFW{{横山夢樹}(2年)を投入し、日比威監督も評価する動きを見せていたCB梅木が連続のパス交換からシュートへ持ち込む。

 だが、日比監督は「全体的に、もうちょっとやるべきことを整理しなければいけない」と指摘。齊藤の背後への抜け出しを昌平の津久井や石川に対応されていたほか、攻撃が同サイドでやや単調になっていた部分もあった。期待のMF{{土本瑶留}(2年)が欠場した影響もあったかもしれない。逆に我慢の展開を両CB中心に凌いだ昌平は、再びエースが輝く。

 43分、土谷がスペースへ落とす斜めのパス。これに反応した荒井が左足へ持ち替える。帝京DFがシュートコースを消そうとしたが、荒井は鮮やかな左足シュートを左隅へ突き刺し、勝負の行方を決定づけた。

 昌平はこの後、FW伊藤風河(3年)とU-15日本代表候補の中学3年生MF山口豪太を投入。山口がファーストプレーのドリブル突破で相手DFにイエローカードを与え、才能の一端を示した。昌平は2年連続選手権8強から昨年はインターハイ、選手権ともに埼玉県予選敗退。藤島監督は「複数得点取らないと勝てないと身に染みて分かっている」と語っていたが、昨年の悔しさをバネに、複数得点と無失点を目指した昌平が目標通りの3-0で白星発進した。

 この日、昌平はLAVIDA出身の11名が先発。中学3年生の山口含めて交代出場の5人中4人もLAVIDAで力を付けてきた選手だ。荒井が「若い選手がどんどん来るので意識しちゃいます。もっと頑張らないと」と語るように、昨年度の高円宮杯全国2位のLAVIDAから次々と好選手が昌平に加わってきている。それだけでなく、外部出身も好選手。この日は交代出場の三戸が攻守に質の高い動きを見せていたが、他にもアメージングアカデミー(山梨)出身の新1年生MF大谷湊斗ら外部出身の楽しみな選手がいる。

 LAVIDA出身の選手とタイプの異なる外部生が個を磨き合い、より強いチームへ。この日はドリブラーたちが存在感を見せたが、パスで破っていくことも、ショートカウンターや組み合わせによっては前線の強さを打ち出した戦いもできる陣容だ。津久井は「試合前から後ろゼロの前3を目標にしていたので達成できて良かったです。去年辛い思いをしているので、もうやらないように、プレミア昇格、選手権インターハイしっかり良い結果を残せるようにしていきたい」と宣言。意思疎通のできているLAVIDA出身プレーヤーたちを中心に、どんなにマークされても常に複数得点できるチームになって、目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
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