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大津の10番MF田原瑠衣が2アシスト。圧倒的なドリブル、コンビネーションでDF翻弄も“ジンクス”は…

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大津高のU-17日本高校選抜MF田原瑠衣はドリブルで相手を翻弄し、ゴールへ

[6.8 インターハイ熊本県予選決勝 大津高 5-0 慶誠高 えがおS]

 “ジンクス”を破ることはできなかったが、1,500人の観衆にとって目の離せない存在になっていたことは間違いない。圧倒的なボールコントロールと身のこなし。大津高の10番、U-17日本高校選抜MF田原瑠衣(3年=FC NEOジュニアユース出身)は1人、2人とかわしてさらに抜きに行ったところでロストするシーンも見られたが、交代するまでの55分間、驚異的なキープ力を披露していた。

 アタッキングサードの手前ではどんなに狭いスペースでも失わない。わずかでも距離を空けてしまうと、10番は巧みに局面を攻略し、攻撃の起点になってしまう。そして「ともさん(山城朋大監督)からも自分でやり過ぎると疲れてミスが多くなると言われている」という田原は、崩しのシーンでワンツーも多用。ボールを引き出して得意の左足を3度4度と振り抜いていた。

 強引にシュートを撃ち続けていたが、チームの勝利を最優先。10番は2アシストを記録している。前半3分に左サイドからのクロスで先制点をアシスト。なかなか3点目を奪えないまま迎えた前半アディショナルタイムには、中央から左前方へのラストパスで再びゴールをアシストしている。

 キレキレの動きでDFを翻弄し、2アシストという結果を残したものの、満足はしていない。相手DFの懸命なシュートブロックやGKのファインセーブに阻まれて無得点。今大会通して無得点だっただけに、「ドリブルまでは良かったんですけれども、その先のゴールがこの先求められるので、自分でも意識してやっているんですけれどもなかなか決められなくて悔しい」と首を振る。

 前任の10番で九州を代表する名手だったMF森田大智(現早稲田大)は昨年、意外にもインターハイ予選と選手権予選で無得点。新10番の田原も新人戦、インターハイ予選ともに無得点に終わり、「10番が獲れない」という“ジンクス”を打破することができなかった。

 熊本のトーナメント戦でのゴールは選手権予選へお預け。まずはリーグ戦、そして日本一を掲げるインターハイでチームを勝たせることを目指す。「ドリブルだけじゃなくて、得点してこそ自分だと思っているので、得点もそうですし、アシストもどちらもできる選手であることを全国に見せたい」。目標は高卒でのプロ。U-17高校選抜のライバルたちの活躍を見て、「さらに上へ」と意識を高めるレフティードリブラーが今年、日本一、プロ入りの2つの目標を実現する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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