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中後が感じさせた千葉の新たな可能性、課題は巻の生かし方

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[3.14 J1第2節 柏1-1千葉 柏]

 開幕戦でG大阪に0-3と完敗したジェフユナイテッド千葉が2節目で今季初の勝ち点を手にした。G大阪戦は出番のなかったMF中後雅喜が先発し、鹿島から移籍後公式戦初出場。「開幕戦もピッチに立ちたかったし、ようやく出れたというか、ウズウズしていた。久々の試合で、楽しくできた」という期待の新戦力がボランチの位置でパスをさばき、チームにリズムを生んだ。

 MF下村東美が「初めてやる布陣で、慎重になった」と言う前半は劣勢を強いられた。全体的に運動量が上がらず、寄せも甘いため中盤で自由にボールを回された。だが、「前半は最終ラインが低かったけど、後半はコンパクトにできた」(中後)と、後半はプレスもかかり、セカンドボールを拾えるようになるなど一転して千葉ペースになった。

 「球際で負けないこと。セカンドボールを拾ってリズムをつくることが大事だし、戦う気持ちが先週も足りなかった。そこを意識した」と中後。MFアレックス、MF谷澤達也らとダイレクトでパスがつながる場面もあり、ボールを回しながら柏を押し込むことができた。

 中後の存在は千葉に新たな可能性も感じさせるものだった。「ボールを落ち着かすことができるし、頼もしい。去年なかったようなリズムが出てきた。中でキープして、チャンスを伺うシーンもあった」(下村)、「攻守に渡って中盤で主導権を握られることが減った」(巻)とチームメイトも絶賛。ゲームメイカーの不在が昨季低迷の最大の要因だっただけに、中後の加入はチームにとって大きな意味を持つことになりそうだ。

 ただ、後半はゲームを支配しながらシュート数は5本しかなく、柏の6本よりも少なかった。特にFW巻誠一郎にいい形でボールが入る場面が少なかった。「思うようなタイミングでボールが来ない。中で待てる時間が増えれば、クロスを上げる方も楽だろうけど。自分の間合いで待ちたいけど、なかなかそうもいかない」とこぼすように、巻自身がサイドに流れてパスを受ける場面もあり、小気味良くショートパスをつなぐ中盤と巻の呼吸がなかなか合わなかった。

 中盤には足元の技術が高く、ドリブルが得意の選手も多い。しかし、クロッサーがいないため、巻の高さを生かすような攻撃パターンがない。巻のヘディングでゴールを狙うのか、あくまで巻はおとりに使うのか。得点力を上げるためにも、早急に解決しなければならない問題だろう。

<写真>千葉MF中後
(取材・文 西山紘平) 

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