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徳島・柿谷は決定機でシュートミス、「別格です。今野さん、梶山さん……まじでえぐい」

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[6.19 J2第17節 F東京1-0徳島 味スタ]

 徳島ヴォルティスは思うような攻撃の形を作れずに0-1でFC東京に完敗した。前半はシュート2本。後半は少し巻き返したが、結局は相手の半分の7本。MF柿谷曜一朗は「別格です。今野さん、梶山さん……まじでえぐいです。やっぱり代表ですね。テレビで見る、聞く名前の選手がいっぱいいて、その人らがどんなプレーするのかと思っていた。今野さんのプレーとか上手いなと思った」と悔しがった。

 前半は苦しんだが、それでも後半はリズムを持ち直し、攻め込む時間帯はあった。柿谷も2度の決定機を迎えた。しかし、土壇場で“名前負け”してしまったという。最も悔やまれるのが、後半34分だった。ショートカウンターからゴール前に走り込んだ柿谷がパスを受けた。フリーの状態で右足を振り抜いたが、上に外した。

 柿谷は「僕の経験の中で、凄くいいDFがそろっている中でできた突破だったので、無駄なことをしたらクリアされるだろうなと思って、ちょっとあせらされた。すぐに打とうと思った結果、下を蹴ってしまった。ドフリーだったので、ああいうところで決められないとチームに貢献できない」とうつむいた。

 だが、この悔しさは、さらなる成長の糧にする。日本代表レベルを感じたことで、現在の自分の“位置”が改めて確認できた。柿谷は「素晴らしいディフェンダー相手に通用したところもあったと思う。FC東京みたいにJ1から落ちたばかりのチーム以外とは、普通にセカンドを拾えて、普通にちょっとしたフェイントで交わせたりというのはあるけど、日本代表を背負ってやっている人には効かない。自分もまだまだだなと思った」という。

 そして「俺もシュート打てたし、チャンスはあった。こういう名前のあるチーム、名前のある選手と臆することなく戦えたことは自信になった。自分にとっていい経験になったと思う。チームとしてもそう。プラスに考えたい。J1昇格しか、みんな頭にない。そのために、みんなが一つになってやっていきたい」と前向きに語った。くしくも、この日の同時間帯には、同世代のU-22日本代表がロンドン五輪アジア2次予選・クウェート代表戦を行っていた。かつてはこの世代の“旗手”だった柿谷だったが、今は目の前のことしか考えていない。

「オリンピックどうこうとかは、まったく考えてないです。今、俺はチームのためにやっているので、オリンピックに行くためにアピールしているわけではないと言えるくらいの気持ちでやってます。同世代で、日本代表で出ていることは凄いことだし、それを目指さないというのは、サッカーをやってる意味がないと言われるかもしれないけど、俺自身の目標は(別に)ある。いまコンディションもいいし、いいモチベーションでやれている。次の湘南も強いと思うけど頑張りたい」

 一時は、ロンドン五輪への思いを口にしていたが、この日は一切、明かさなかった。2006年にはAFCU-17選手権でMVPを獲得し、U-17W杯ではフランスからゴールヲ決めた怪物。だが、過去の栄光を振り返るつもりは、毛頭ない。一歩一歩、前へ進む。今は徳島をJ1に上げることだけに集中する。柿谷は、それが自身を飛躍させる近道だと信じている。

(取材・文 近藤安弘)

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