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ミラクル残留につながるか、福岡が今季初の連勝&アウェー戦勝利「可能性があるかぎり戦い抜く」

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[10.1 J1第28節 大宮0-2福岡 NACK]

 最下位のアビスパ福岡がミラクル残留に向けて大きな勝ち点3を奪った。残留争いをしている大宮に2-0で今季初の連勝を成し遂げ、そして初のアウェー戦白星をつかんだ。勝ち点18の最下位で依然として、あす2日にG大阪戦を控える暫定15位の浦和とは同11差離れているが、奇跡を信じたくなるような戦いぶりを披露した。

「選手たちは90分間、戦い抜いてくれた。局面で相手に負けない、球際にしっかり行く、これを90分間、しっかりやろうとここ数試合言い続けてきたが、今日に関しては90分間、交代選手も含めて、出場機会がなかった選手も、みんな非常によくやってくれた。GKの神山を中心に、我々が目指す粘り強い守備ができたことが、0に抑えられた要因です」

 会見で浅野哲也監督は、選手たちが攻守両面で戦う姿勢を90分間出し続けたことが白星につながったと強調した。前半、GK北野貴之を中心とした大宮の守備に苦戦したが、攻撃陣は積極的に仕掛け、守備陣は体を張って守った。前半19分にはGK神山竜一が大宮MF金久保順との1対1をファインセーブ。さらに同21分には大宮FWラファエルにヘディングシュートを決められかけたが、DF丹羽大輝が体勢を崩しながらもライン上でブロックし、何とか失点を防いだ。もちろん2人とも体を張った成果だが、“勝利の女神”が味方したとも感じられるファインプレーだった。

 これが、後半の攻撃陣の奮闘につながる。開始3分にセットプレーからMF松浦拓弥が先制点を決めると、同24分にはFW城後寿が右クロスを左足で決めて2-0勝利へと導いた。神山は「1対1の場面? 落ち着いて相手を見れた。DFも体を寄せていてくれていたので、止めることができた。前半に失点をしていたらゲーム(の結果)は変わっていた。前半を0で抑えられたことが勝利につながった」と胸を張った。

 丹羽は「あの場面は神山さんがニアのコースを詰めていてくれたし、小原さんがラファエルに体を寄せていた。周りの選手が最後まで諦めなかったから、僕が結果的にクリアできた。偶然じゃなく、必然です」とチーム一丸でゴールを防いだことを強調した。

 シーズン終盤になったが、今季初の連勝をつかみ、アウェー戦初勝利を挙げた。残留に向けて勝ち点的には苦しいことに変わりはないが、チームの戦い方には明るい兆しが見えている。松浦は「どうやって戦い、どうやって勝つかがやっと見えてきた」という。それはやはり、攻守両面、特に守備面で全員がファイトしてボールを奪い、それを必死にシュートまでつなげる形だ。

 丹羽も「僕らには個人で飛び抜けた選手はいない。どうチームで戦うか」という。神山によると、最近は攻撃陣の守備への貢献が増しているという。「FW陣が1回交わされても、2回、3回と行ってくれる。そうしたら、後ろはさらに気持ちが入った守備ができる。前の選手の頑張りが後ろに伝わっている」と明かした。

 ただ、現実は厳しい。勝ち点を18に伸ばしたが、残留圏となる暫定15位の浦和とは同11差ある。浦和があす2日のG大阪戦に勝利すれば、その差は14に広がる。仮に浦和が敗れても、残り6試合、つまり得られる勝ち点は最大で18のため、簡単にひっくり返すことができる数字ではない。

 とはいえ、選手は諦めていない。これからも気持ちを入れて戦い抜く。神山は「たとえ99%降格が決まっても、信じてやってく。これから1週間あくけど、気持ちを切らすことなく練習からやっていく」と言い切った。丹羽も「勝ち点3を取り続けることしか考えていない。可能性があるかぎり、戦い抜く」と宣言した。奇跡は起きるのではなく、起こすためにある-。福岡イレブンはそう信じて戦い続ける。

[写真]ファインセーブを連発したGK神山

(取材・文 近藤安弘)

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