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J1残留かけた埼玉ダービーは大宮が勝利、浦和は降格圏16位に後退

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[10.15 J1第29節 浦和0-1大宮 埼玉]

 J1第29節の第1日が各地で行われ、埼玉スタジアム2002では前節15位の浦和レッズと同14位の大宮アルディージャが対戦した。勝ち点3差で迎えた“裏天王山”。J1残留のため共に負けられない一戦となったが、大宮がFWラファエルのゴールで1-0勝利。勝ち点を35に伸ばし、暫定13位に浮上した。浦和は勝ち点29のままで、この日C大阪を下した甲府に抜かれてJ2降格圏の16位に後退した。

 浦和は日本代表FW原口元気がベンチスタート。MF梅崎司がリーグ戦で約2年ぶりに先発し、DF濱田水輝が今季リーグ戦初先発を果たした。システムは4-4-2を採用し、G大阪を撃破したナビスコ杯準決勝のメンバーを中心にスタメンを組んだ。GKは加藤順大、DFラインは右から平川忠亮、濱田水輝、永田充、野田紘史。ダブルボランチは鈴木啓太と柏木陽介が組み、2列目は右にマルシオ・リシャルデス、左に梅崎司が入った。2トップはエスクデロ・セルヒオとデスポトビッチが組んだ。

 対する大宮はベスト布陣で4-5-1を採用。GKは北野貴之、DFラインは右から杉山新、深谷友基、片岡洋介、金英權。ダブルボランチは青木拓矢と上田康太が組み、2列目は右に渡邉大剛、左に橋本早十、トップ下には東慶悟が入った。1トップはラファエルが務めた。

 立ち上がり、浦和が積極的なプレスでボールを支配。梅崎、エスクデロのドリブルで攻めたが、7、8分が経過すると、大宮がスピード感に慣れ、ピッチを広く使ってプレスを交わし始める。そして前半9分、ラファエルがPA左で右足ミドル。同14分には再びラファエルがミドルで狙った。いずれもGK加藤の正面だったが、チャンスを作った。

 浦和は前半16分、綺麗な形で好機を作った。柏木が縦パスを入れ、PA正面のエスクデロが受けてPA内左を走り込んだデスポトビッチにラストパスを送った。しかしこれは、大宮守備陣が対応し、決められなかった。同21分には梅崎の左クロスに、永田が頭を合わせたが上に外れた。同23分にはエスクデロの右クロスに、梅崎が飛び込んで頭を合わせたが、GK北野の正面に行ってしまった。

 前半の中盤以降は、大宮がピッチの横幅を広く使ってゲームを作り、ボールをつないだ。前半33分、左サイドのスローインから東がドリブルで持ち込み、渡邉にラストパス。しかし右足のシュートは右に外れた。その1分後に決定機を作る。左サイドの金から右に開いていたラファエルへ高精度のロングパス。エースはドリブルから上田にラストパスを送ったが、右足シュートは浦和守備陣にブロックされた。前半終盤は共に決め手を欠き、一進一退の攻防が続く。結局、前半は0-0で折り返した。

 後半、共にメンバー変更なくスタートした。序盤、浦和が攻め込み、決定機を作った。同5分、左CKのチャンスから柏木が左足でシュート。これは左に外れたが、再び好機が生まれる。ゴール前でエスクデロが左に流し、梅崎がドリブルからグラウンダークロス。これにデスポトビッチがスライディングしながら合わせようとしたが、わずかに足が届かなかった。

 そして後半8分、浦和がビッグチヤンスを迎えた。中央でエスクデロが得意のドリブル突破から、相手に挟まれながらもPA内左のデスポトビッチにスルーパス。GK北野と1対1となった助っ人FWは左足を振り抜いたが、GK北野のファインセーブに阻まれてしまった。

 大宮は後半12分、司令塔の上田に代えてMF金澤慎を投入。不利になっていた中盤のセカンドボール奪取で優位にするべく、運動量に定評があるボランチを入れた。大宮は同20分、左CKのチャンスで橋本のキックに片岡が頭を合わせたが、わずかに外れた。

 浦和は後半21分、デスポトビッチに代えてFW原口元気を送り出した。直後、原口が魅せる。得意のドリブルでPA内左を仕掛けてシュートまで行く。相手にブロックされてCKとなったが、いきなり持ち味を発揮してみせた。浦和は原口の投入でシステムを4-5-1に変更。1トップにエスクデロ、トップ下にマルシオ、右MFに梅崎、左MFに原口が構えた。

 後半24分、大宮は杉山に代えてFW李天秀を投入した。渡邉が右SBに下がり、李は右MFに入った。対する浦和は同26分、負傷した野田に代わりDF岡本拓也を入れた。これにより平川が左SBに回り、岡本は右SBに入った。同30分、両軍ともに最後の交代カードを切る。大宮は金に代えてDF村上和弘を、浦和はマルシオに代えてMF山田直輝を送り出した。

 大宮は後半35分、セットプレーでチャンスを迎える。CKで橋本のキックに中央でラファエルが相手に囲まれながらも頭を合わせる。これは力なく上に浮いたが、深谷が足を伸ばして押しこもうとする。しかし、浦和DFにクリアされた。

 残り10分を切り、共に気の抜けない時間帯となる。そんな中、大宮が大きな先制点を奪った。後半39分、左サイドの橋本早十のクロスに、エースのラファエルが飛び込んでヘディングシュート。高い打点の一発はゴールネットに突き刺さり、土壇場で大宮が1-0リードをつかんだ。

 何とか1点を返し、せめて引き分けに持ち込みたい浦和。後半45分、チャンスを作った。左サイド、原口が粘って突進し、PA内左の山田直にラストパス。山田直は右足を振り抜いたが、GK北野にセーブされた。ロスタイムは4分。浦和は原口を中心に猛攻を仕掛けたが、ゴールは割れず。大宮が1-0で逃げ切り、勝ち点を35に伸ばして残留へ一歩リードした。

(取材・文 近藤安弘)

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