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鳥栖のJ1昇格が正式承認、井川会長は熊本サポーターへ向けて感謝のコメントも発表

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 サガン鳥栖は12日、この日に行われたJリーグ理事会にてJ1昇格が承認されたと発表した。鳥栖にとってはクラブ創設以来、13年目での悲願達成となった。

以下、クラブ発表の挨拶文
(株式会社サガン・ドリームス 井川幸広代表取締役会長と竹原稔代表取締役社長)
※一部抜粋

■井川幸広代表取締役会長
「東京のオフィスに戻って、ようやく今シーズンを振りかえる時間ができました。2011年12月3日は人生で忘れることのできない日になりました。22,532名の大観衆を前にしての最終戦。2万人の方々が祝福してくれた街頭パレード。シーズン報告会。本来ですともっとはやく皆様方へ御礼のご挨拶をしなければならないところ、J1昇格の余韻に浸りすぎて遅くなりましたことお詫び申し上げます。

 さて皆様へのご挨拶の前に、ますはロアッソ熊本のサポーターの皆様への御礼をさせていただきます。12月3日の最終戦、試合終了後の力強い「サガントスコール」と横断幕での熱いメッセージ、感動いたしました。私はもとよりサガントスサポーターの皆さんも同じ気持ちだったと思います。この場をかりてロアッソ熊本のサポーターの皆様へ御礼を申し上げます。

 12月5日、横浜アリーナで開かれた2011Jリーグアウォーズで、ロアッソ熊本の代表の岡英生社長にサポーターの皆さんに宜しくお伝えしていただく旨、お願いしました。そして2013年シーズンでは、共にJ1の舞台で九州旋風を巻き起こせるよう、誓い合いました。

 思い起こせば2004年。サガントスの解散が騒がれた年、古川知事からサガントスの再建の要請を受け、その受入れ会社として2005年に新会社の株式会社サガン・ドリームスを設立しました。サッカー文化を通じて「人づくり・まちづくり・夢づくり」の理念をより具現化すべく、当時、監督だった松本育夫氏に魅力あるチームづくりをお願いし、私はその土台となるクラブの経営に専念しました。

 経営といっても資金集めが中心で、安定したチーム編成を行うにも、ます資本を増強し新しく株主になっていただく方やメインとなるスポンサーの獲得など、いまから思うと満身創痍の船出だったことを思い出します。一方、松本育夫監督も監督業にとどまらず、地元での営業から講演からクラブの再建に奮闘し、まさしくサガントスの顔として、その建て直しに多大な貢献をしていただきました。

 その後、松本氏のもとで2年間修行したヘッドコーチの岸野靖之氏が監督に就任。経営は牛島洋太郎氏へとクラブのバトンは引き継がれました。岸野氏は松本イズムを継承し、牛島氏は地域密着の営業スタイルでクラブを盛り立てました。そして今シーズン、岸野氏のもとでコーチをしていた尹晶煥氏が監督に就任。Jリーグ最年少監督が誕生しました。一方、経営も地元でベンチャー経営者として優れた実績を上げている竹原稔氏が社長に就任。尹監督・竹原社長の新体制のもと、後半戦から奇跡ともいえる勝ち星を重ね、悲願のJ1昇格の栄冠を掴み取ることが出来ました。

 クラブの歴史には多くの方々の人生があります。サガントスの歴史を紐解くと、ある方にいきつきます。元佐賀県サッカー協会理事長の坂田道孝氏です。サガントスの生みの親であり、チームの存続に奮闘されてお亡くなりになられた坂田先生の命日の1月7日を17番とし、2005年1月30日の株式会社サガン・ドリームス事業計画発表会でサガントスの永久欠番としました。それからJ1昇格まで7年。その間、何人ものサポーターの方がJ1昇格を目にすることなく、夢半ばで亡くなられました。訃報を聞くたびに、胸が痛くなりました。サガントスの17番はスターティングメンバー11人とリザーブ選手5人の次の選手としてのサポーター番号であり、J1昇格を願い、お亡くなりになられた方々の永久欠番でもあります。

 毎試合熱く応援してくれるサポーターの皆さん。試合運営を手伝っていただいているアシストクラブの皆様。存続のため著名運動を行ってくれた皆様。休日や仕事帰りにポスターを店先に貼っていただいた皆様。×2運動を展開していただいた皆様。選手バス・営業車やテント・机……など、運営に必要な物品を提供していただいた皆様。ユニフォーム、練習着、看板や広告、うちわなどで資金援助をしていただいたスポンサーの皆様。お客さんを盛り上げようと工夫を凝らしてメニューづくりをしていただいた売店の皆様。厳しい環境のなか、日本一を目指していこうとするクラブに共感して資本を捻出していただいた企業経営者の皆さん。試合当日、休みを返上して運営を手伝ってくれた市や県職員の皆様。選手強化費を捻出すべく啓蒙していただいた後援会の皆様。遠くのアウェイの地で力の限り応援していただいた全国のサガントスサポーターの皆様。

 悲願のJ1昇格は、こうした多くの皆さんの支えがあってこその快挙です。それは長い年月をかけて砂粒が固まって砂岩「サガン」となるように、一人一人の小さな力を集結して立ち向かう。まさしくサガントスです。

 多くの方の思いを胸に、これからサガントスは新たなステージへと向かいます。これまでの歴史を重く受け止め、変えてはならないもの、変えなくてはならないものを見極めつつ、常に進化し続けてまいります。経営のバイブルに「大きい組織が強いのではない。変化できる組織が強いのだ」という標語があります。決して大きくない経済圏で、大都市クラブと同じルールで戦っていくには、地域とクラブと民・官・産の強い絆が問われます。その絆の強さで小規模都市のハンディキャップを乗り越えることができるか。これまで幾度の苦難を盛り超えてきたサポーターの皆さんがいる限り、必ず出来ると信じています。

 今回のサガントスの昇格は、地方都市をホームタウンとして少予算でJリーグ入りを目指しているクラブにある種の目標を与えたように思えます。Jリーグクラブでホームタウン人口が最も少ないサガントスが地域クラブの指針となることは、Jリーグ百年構想を実現する意味でも重要なことです。クラブの理念であるサッカー文化を通じて「人づくり・まちづくり・夢づくり」を具現化するなかで、サガントスの活躍が全国の地方都市を元気にできれば、と思う次第です。だからこそ、来年も再来年も、サガントスは地域クラブの模範として常に上をめざしていかなければなりません。

 サガントスのエンブレムにはその意味が込められています。ロゴマークにビクトリーのV字型のラインを基調に、五大陸の色で表現したのは、サガントスを世界に自慢できるようなチームにするというメッセージです。サガントスを応援する全てのサポーターの皆さんと一緒になって世界を目指してチャレンジするという、その象徴です。

 そのエンブレムを胸に2012年シーズン、サガントスはJ1の舞台で戦います。

 J1昇格の祝賀会を終えて、竹原社長と二人になった時、「次は日本一。そしてアジア一。何年かかるかわかりませんが、必ずやります」その決意ともとれる力強い言葉に、竹原社長を中心にサガントスの新しい物語が始まることを感じました。

True champions in the hearts of all who love Sagantosu.

 サガントスを愛する全ての皆様へ、最後に重ねて御礼の言葉とさせていただきます。
サガントスの応援、本当にありがとうございました。そしてこれからもどうか、宜しくお願いします」

■竹原稔代表取締役社長
「サガン鳥栖は2011年J2リーグ戦2位の結果を残すことが出来ました。1999年のJ2リーグ発足当時から参加しているチームの中で、サガン鳥栖だけがJ1昇格を果たしていませんでした。途中、解散の危機などもあり、ファン・サポーター・スポンサーの皆様には大変なご心配をおかけしておりました。

 Jリーグ最高峰であるJ1リーグへの切符を手にすることが出来たのも皆様の応援があってこその結果であります。また、監督・選手・スタッフが最後まで全力で走りぬいてこの栄冠を得たものと確信しております。

 今年は、3月11日に東日本大震災が起こり、日本全体が悲しみに包まれました。Jリーグの中では開幕1試合を戦った後の出来事でした。直接被害に遭われた方、お身内や知り合いが被害に遭われた方は大変な思いでいらっしゃったであろうことは想像するにあまりある事だと感じております。

 サガン鳥栖では義援金、チャリティなど様々な活動を通して支援させていただきましたが、未曾有の災害とともにJリーグの長期中断という今まで誰も経験したことのない時期を乗り越えることが出来ましたのも、サガン鳥栖に関わるすべての方々のご支援・ご指導があったからであると心より感謝を申し上げます。

 今年の夏に初めて感謝祭を企画し多くのサポーターの皆さんに楽しんでいただいたこと、気仙沼市立大谷中学校のサッカー部のメンバーを鳥栖に招待したことなど、今年は「絆」を私自身のテーマとしてサガン鳥栖運営に携わりました。時には心の中の絆が切れそうになることもありましたが、最後まで信じて応援してくださるみなさんに助けられて、J1昇格の電話を受けるという大役を務めることが出来たのだと感じております。

 今の私の胸には「信じる溶けない心」という言葉が刻まれています。サガン鳥栖を支えるすべての方の心に勝る力はないと思います。

 来年はJ1へとステージを変えて戦うことになります。応援していただいている皆様には、さらに高レベルな試合を身近にご覧いただく機会が増えてまいります。これまで以上に厳しい戦いになると思われますが、世界レベルの選手のスーパープレイに負けないサガン鳥栖の気迫あふれる試合運びをお見せすることをお約束します。

 経営面につきましては、J1リーグ史上最低の売り上げ状態からのスタートとなり課題も山積しておりますが、より一層考えて行動するクラブ運営を行ってまいりますのでどうか皆さんの力をお貸しください。
これからも引き続きサガン鳥栖の応援を賜りますようよろしくお願いします」

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