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3-4-3の可能性を語る中村「はまれば面白い」

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 3日間に渡って千葉で行われた強化合宿を終えて、MF中村憲剛は「うまくはまっていけば、面白い感じはしています」と3-4-3システムの手応えを語っている。この日の練習試合には、前半に出場して中盤の中央を務めた。2日目までの練習では、同じ3-4-3の布陣が対峙した状況でトレーニングしていた。しかし、練習試合を行った明治大は4-2-3-1で戦ってきた。そこで、見えなかった課題も浮き彫りになったと振り返る。

「紅白戦は3-4-3同士だったから粗は目立たなかったけど、今日のように中盤でつないでくる相手との試合だと、中央で数的不利が頻繁に起きました」と振り返る。実際に23分に喫した失点の場面など、中央でボールをつながれてから、相手のボランチにゴールを許している。

「個人的には前に行きたいけれど、後ろに入れられるのは嫌だから、ちょっと後ろにいました。でも、それを見ていた監督が『(中村が)前に行くことで、後ろの岩政(大樹)とかCBの選手が前に出られるようになる』と言っていました。そうしたら、向こうのボール回しも止まったので、なるほどなと。フォーメーションが違う中でやらないとわからないこと。それは一つ勉強になりました」と、発見を口にした。

 また、もう一つの課題として、サイドの使い方を挙げている。前半、後半を通じて、両サイドにWGとWBが張り出してしまい、攻撃が停滞することがあった。「2人ともライン際に並ぶ形になると、相手も楽だと思うし、違いが出てこない」と中村も認める。後半の右サイド、WG清武弘嗣が中央にやや絞り、空いた前線のスペースにWB酒井宏樹が攻め上がる攻撃が、チームとしては最も機能していた。

 普通であればWGの選手のポジションを見て、後方の選手がスペースに走り込むことが多い。しかし、ザッケローニ監督の3-4-3ではサイドの動き方の基準をつくるのは、WBの役割になるという。「それは俺らの感覚と違っていて、すごく面白いところ」と中村は言う。WGの選手は前を向いてプレーするため、後方の状況を把握しにくい。だからこそ、より高度な連係が求められる。

「(右WGの藤本)淳吾や(左WGの山田)大記にも、自分の意志でもっと中に入ってきていいんじゃないかという話をしました。ボールに触れないと彼らもつまらないですし、淳吾が少し中央に入ってプレーするようになって、(WBの)森脇が上がるようになって流れが出てきた感じはします」と中村は言う。

 WGが外に広がるのは、相手の守備を分散させるため。それができていれば、いつまでも外にとどまっている必要もない。大事なのは、その感覚を共有していくことであり、積み重ねて行くことだ。

「僕ら選手も、それぞれいろいろなことが見えたと思うので、それを次は頭に入れてやりたい。また最初に戻るのではなくて、今回はここまでやったから次はここから次のことをやれたらと思います」と中村は、3日間の千葉合宿で確認したベースを次につなげていく重要性を語った。
(取材・文 河合拓)

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