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宮市が待望の代表デビュー「すごい緊張した」

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[5.23 キリンチャレンジ杯 日本2-0アゼルバイジャン エコパ]

 得も言われぬ緊張感が19歳のスピードスターを包み込んでいた。エコパスタジアムに「ミヤイチコール」が鳴り響いたのは、2-0とリードを広げた直後の後半17分だ。FW宮市亮(ボルトン)が待望の代表デビューを果たした瞬間だった。

 最初のチャンスは後半23分。左サイドでパスを受けると、そのまま一気にドリブルで前進したが、相手DFにつっかかって倒れた。その5分後にはペナルティーエリア外からミドルシュートを放ったが、これはGKに阻まれた。

「いつもデビュー戦は緊張するのだけど、正直なところすごい緊張していて、最初にいい形で来たところは緊張でコケてしまった。シュートチャンスも残念だった。香川さんならああいうのを決めていると思う」

 報道陣の質問に、頬を赤らめながら、「緊張」という言葉を何度も使う。とはいえ、それとは裏腹に大胆な一面も見せた。ピッチに入った直後、MF本田圭佑に自ら近寄って話しかけたのだ。

「前半から本田さんのところで前半からタメができていたので、裏に走ればボールが出ると思って、その意図を伝えた」

 本田といえば、圧倒的な存在感とカリスマ的イメージで、新顔選手にとっては容易に近寄りがたい存在。けれどもプレミアリーグで戦っている宮市には無関係なことだ。臆することのない新人に対し、本田は「センタリングが上がったときにはファーを意識しろ。どんどん行け」というアドバイスを送った。通らなかったが、実際に本田から裏を狙ったパスも送られた。

 約30分のプレータイムの中では、チームで要求されていることをしっかりと把握し、守備の役割をこなしながら、どこで自分の持ち味を出すかという判断力があることも示した。「守備では対面の選手への対応はできたと思う。ドリブルはアピールしたかったところだし、自分の持ち味なのでガンガンいこうと思っていた」

 Jリーグを経験せずに高校卒業後に海外リーグでプロデビューし、日本代表になった。「今日は代表デビューしただけで、何もしていない。でもフェイエノールトでもボルトンでも、いつも2戦目で点を取ったので代表でも2戦目で取りたい」と宮市。新たな才能がW杯予選メンバー入りへ名乗りを挙げた。

(取材・文 矢内由美子)

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