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“旧友”関川の背後を攻略! 甲府FW宮崎純真が鹿島破る殊勲弾「失うものは何にもない」

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ヴァンフォーレ甲府FW宮崎純真

[10.5 天皇杯準決勝 甲府1-0鹿島 カシマ]

 ヴァンフォーレ甲府に史上初めて天皇杯決勝への切符をもたらしたのは、“旧友”とのマッチアップを制したFW宮崎純真だった。裏への抜け出しは日々積み重ねた鍛錬の賜物で、フィニッシュへの流れは10日前の失敗を生かしたもの。劣勢が続いた後半には守備でも献身的な働きを見せ、敵地カシマで見せた歴史的快挙の主役となった。

 鹿島アントラーズを相手に劣勢が続いていた前半37分、宮崎はDF浦上仁騎からのロングフィードにいち早く反応した。「あの形はシーズンを通して浦上選手と狙っていた」。目の前には中学時代にFC多摩でプレーしていた同級生のDF関川郁万が立ちはだかったが、自慢のスピードで振り切ると、「冷静にトラップできた」という自画自賛のファーストタッチからゴール前に抜け出した。

「シュートを打つ前に大分戦がよぎった」。10日前の大分戦では終了間際にループシュートを放ったが、ゴールカバーに入ったDFに阻まれた。そこでこの日はGKクォン・スンテを抜き去り、落ち着いてゴールを狙った。「キーパーの位置も確認できていたので、キーパーを抜く選択肢を冷静に取れて良かった」。浦上との連係も完璧なら、仕上げの冷静さも出色。宮崎は「阿吽の呼吸。二人の感覚が合った」と喜びを語った。

 またゴールの陰には、直前のビッグチャンスでオフサイドに泣いていたFW三平和司の貢献もあったという。宮崎がボールを追う瞬間、届いたのは「オフサイドはないぞ!」という力強い声。「言われて冷静になれた。それが聞こえるくらい冷静だったのもあると思う」(宮崎)。さまざまな要素が重なっての得点に吉田達磨監督も「リーグではなかなか入らなかったが、今日は入った。いろんな力がカシマのスタジアムにあった」と驚きまじりに振り返った。

 その一方、宮崎は関川について多くを語ろうとはしなかった。「(関川は)前へのボールには本当に強いので、自分が後ろ向きでもらっても分が悪い。スピードを活かしてどんどん裏を取っていこうと思っていた」。そうした狙いはあったそうだが、ゴールシーンについては「結果は郁万の裏になったけど、チームとして(裏を)狙っていたので良かった」と控えめに言及。旧友へのリスペクトを貫き通した。

 自身の得点でリードした後は守備でも汗をかき、無失点に大きく貢献した。「絶対にチームが一つになって守らないといけない時間が来ると話していたので、その時間が後半すごく多かったけど、乗り越えられたのが勝因の一つ」。その働きには指揮官も「ウイングバックが出られない時に戻ってくれて時間を作ることができた」と賞賛を送った。

 そうしたなんとか掴んだ天皇杯決勝への切符。宮崎は試合後のフラッシュインタビューで「大舞台には強い」と宣言し、日本一をかけた戦いを見据えた。

 山梨学院高3年時にはインターハイ決勝でゴールを決め、同校に夏のタイトルを初めてもたらした宮崎。「全国決勝で点を取った経験もあるので言ってみた」。その勝負強さが本物であることを示せるか。決勝の相手は広島。J1クラブ5連破での戴冠に向けて「失うものは何にもないという気持ちでJ1に挑み続けきて、決勝まで来てもそれは変わらない。自分たちのやっていることをやり続けて決勝でも優勝したい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
●第102回天皇杯特集ページ

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