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甲府の強さに胸張る三平和司、J2勢“史上最高ジャイキリ”指摘に「J1に5回勝った。今日が特別ではない」

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優勝セレモニーでおどけるFW三平和司

[10.16 天皇杯決勝 甲府 1-1(PK5-4)広島 日産ス]

 誰よりも大きな髪の毛が決勝で躍動した。FW三平和司は前半26分にセットプレーから先制ゴール。「練習通りでもあんなにうまくいかなかった」と喜びを語った。

 J2リーグ残留を決めた甲府と、J1リーグのタイトル争いに絡んだ広島の対戦は、甲府が鮮やかに先手を打った。前半26分、最初のCKでトリックプレーを敢行。MF長谷川元希のショートコーナーからMF荒木翔がPA左からゴール前へ。ニアサイドに詰めた三平が左足ワンタッチで合わせ、広島のゴールネットを揺らす。「練習でもあんなにうまくいかなかった。練習通りでした」。日産スタジアムがどよめくゴールで甲府が先制点を奪った。

 34歳のベテランは最前線で甲府を牽引。ボールの収めどころとして攻撃を円滑にさせ、また相手ボールのときも激しいプレスで守備で貢献した。大分トリニータ所属時にはJ1で広島とも対戦。「そのときよりも自分のプレーが出せました。この歳ですけど、まだ成長できるなって感じました」。天皇杯決勝の大舞台でトレードマークのアフロを大いになびかせた。

 J2勢による優勝は史上2度目だ。しかし2011年度覇者のFC東京はJ2優勝&J1昇格を決めた後、その勢いとともに天皇杯を制した。来季もJ2に在籍する甲府の快進撃は、ある意味“史上最高のジャイアントキリング”ともいえる。だが、三平はこれをやんわり否定。「(J1に)5回勝っているので、史上最高のジャイキリなのかどうかはわからない。僕たちは一戦一戦すごくいいゲームして勝ってきていた。今日が特別ではないです」。札幌、鳥栖、福岡、鹿島、そして広島を打ち破ったその強さに胸を張った。

 優勝セレモニーでの立ち振る舞いは生中継で全国に流れ、ネット上でも大きな話題になった。「僕はそういうキャラなので。優勝もうれしいですけど、笑いが取れたならもっとうれしいです」とおどける場面もありながら、三平はチームのこれからを考えている。「まだまだ伸びるチームだと思いますし、これからもっと上を目指していければいいチームになると思います」。頼れる男とともに、甲府はさらなる高みへステップを踏んでいく。

(取材・文 石川祐介)
●第102回天皇杯特集ページ

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