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クリアソン新宿V!「天皇杯は縁がありますね」ベテラン岡本達也は大学時代に古巣磐田に見舞った思い出重ねる

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決勝点を喜ぶMF岡本達也

[5.7 東京都サッカートーナメント決勝 明治大0-1クリアソン新宿 西が丘]

 明治大の野望を打ち砕くゴールになった。前半10分、右サイドを突破したMF澤井直人のクロスがMF岡本達也の頭にピタリ。36歳のベテランがクリアソン新宿を天皇杯初出場へと導く千金弾を決めた。

 水戸や鳥取でJリーガーとしてキャリアを築いた岡本だが、今年で36歳。チームが初のJFLを戦った昨年はまさかの無得点。引退の二文字がちらついたことを素直に明かす。ただどこまでも自分の可能性を信じたい。「とりあえずもう1年」と決意を新たにして、シーズンに入っていた。

 そして4月23日に行った法政大との準決勝で式戦では1年以上ぶりとなる得点をPKで決めると、決勝では流れの中で決勝点を記録。自らの存在価値を改めて示した。今年から指導する北嶋秀朗ヘッドコーチも「最高でしたね」と笑顔。「背景を考えるとより大きい」とチームにもたらす好影響を強調した。

 もっとも天皇杯という大会が、岡本を復活に導いたのかもしれない。岡本は高卒と同時に磐田に入団。しかし2年で戦力外になると、順天堂大に進学した。そして2007年の天皇杯で運命の対戦。4回戦で磐田と激突すると、1-6で大敗を喫したが、前半23分に一時同点とする得点を決めて意地をみせた。天皇杯はドラマを生む。「天皇杯は縁がありますね」。岡本自身が身をもって感じていることだ。

 JFL以下のクラブが天皇杯に出場することの大きさも理解している。「JFLも全国規模の大会ですけど、天皇杯は普段は触れない周波数の人がクリアソンという名前を目にしたり、耳にしてくれる。もしかしたら、試合を見に来てくれるかもしれない。チャンスだなと思っているので、僕たちを伝える戦いがしたい」。今日の結果だけに満足することはない。挑戦の日々はまだまだ続く。

(取材・文 児玉幸洋)
●第103回天皇杯特集ページ

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