beacon

[PUMA杯] 12年ぶりの準決勝に燃える町田FP金山「チャレンジャーのつもりで」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[3.14 PUMA杯2014準々決勝 町田3-2大阪 代々木]

 Fリーグが開幕するまで、日本のフットサル界をけん引してきたのは、ファイルフォックスとカスカヴェウという2クラブだった。前者は、名古屋で活躍するFP森岡薫を筆頭に、浦安のFP小宮山友祐、FP稲葉洸太郎、大阪のFP村上哲哉、大分のGK定永久男ら、数々の日本代表選手を輩出。現在も、チーム名をそのままに関東1部リーグの舞台で戦っている。

 もう一方のカスカヴェウは、ペスカドーラ町田と名を変え、初年度からFリーグに参戦している。しかし、09-10シーズンでリーグ2位の成績を残してからは、年間9位、7位、8位と優勝争いに絡むことさえできていなかった。今季も、Fリーグ最強守護神であるGKイゴールを補強しながら、最終節でそれまでシーズンわずか2勝しか挙げていなかった最下位の浜松に敗れ、プレーオフ進出を逃していた。

 いつしか、町田を表現するときに「古豪」という枕詞が付けられるようにもなった。その町田が、14日に行われたPUMA杯準々決勝のシュライカー大阪戦に勝利。チームとしては12年ぶり、ペスカドーラ町田と改称してからは、初の4強進出を決めた。

 勝利を呼び込む働きを見せたのは、12年前もカスカヴェウの一員として、第8回全日本選手権を戦っていたFP金山友紀だった。前半10分にFP横江怜のFKを大阪GK宮武晴紀が弾いたところをゴールに押し込むと、後半13分にもFP永島俊のシュートをGK宮竹が弾いたボールが体に当たって、ゴールへ転がり込んだ。

「仲間がつくってくれたチャンス。僕はもう触るだけの2点だったので。僕のゴールというより、8割くらいは、そこまでつなげてくれた人のゴールだと思います」と、金山は少しバツの悪そうな顔をした。だが、そこに彼がいなければ得点が決まっていなかったことは、間違いない。小柄なスピードスターは、12年前と同じように点で合わせるゴールを決め、チームを勝利に導いた。

「Fリーグになってからは、(4強が)初めてっていうのは、チームでも話していたんです。自分たちはリーグ戦の後期から、PUMA杯の予選も含めて、ここまで良い形で来ていたので『今のチームなら行ける』っていう話もしていました。自分たちが崩れることなく戦うことができれば、絶対に勝てるって」

 この日の対戦相手が大阪だったことも、町田のモチベーションを高めていた。今季のFリーグ最終節で、町田が手から落としたプレーオフ進出の切符を拾ったのが、この大阪だったからだ。「自分たちのなかでも、本当にどっちが強いチームなのかを確かめようというのはありました。最後、ああいう形でプレーオフ進出の権利を大阪は持って行きましたが、自分たちもそこに負けていないことを証明したかったので。そういう意味でも、勝ててうれしいです」と、金山は目を細めた。

 15日の準決勝は金山にとって、12年前の忘れ物を取りに行く試合になる。12年前、優勝の筆頭候補だったカスカヴェウは、準決勝でロンドリーナ(現Fリーグ・湘南)に延長Vゴールで敗れて、決勝進出を逃した。その試合の後半終了間際、金山はFP前田喜史のパスから決定機を迎えていたが、ゴール前に飛び込み合わせたシュートは、枠を捉えることができなかった。

 だが、金山自身は「そんな(忘れ物を取りに行くという)気は、全然ないですよ」と否定する。「Fリーグが始まって、決勝の舞台もそうだし、準決勝の舞台も初めてなので。チャレンジャーのつもりでやっていきたい。とにかく明日勝って、決勝の舞台に進みたいというだけです」と、平常心で大一番を迎えるつもりだ。

 36歳になった金山は、「今日みたいに厳しい試合になると思いますが、今ある勢いを明日にも継続して行けるようにしたいと思います。どこが相手でも、自分たちが今日みたいにしっかり走って、走り負けることがなければ、絶対に勝利は転がってくると思うので。1日でケアして、明日また走り込めるようにしないといけません」と、目の前の一戦だけを見据えた。

(取材・文 河合拓)

TOP