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[MOM702]旭川実GK永井建次(3年)_J内定2人を完封した守護神

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 旭川実0-0(PK3-2)大津 ニッパ球]

 自信は揺るがなかった。0-0のまま80分間の戦いを終え、PK戦突入が決まると、旭川実(北海道)のGK永井建次(3年)は「負ける気はしなかった」と、胸を張ってゴールライン上に立った。

「ビッグセーブが1本あったし、今日は乗れているかなと思っていた」。前半21分、FW荒木晃大(3年)との1対1は体を張ってセーブ。後半27分にも鋭いドリブル突破でPA内に切れ込んできたMF豊川雄太(3年=鹿島アントラーズ内定)の決定的なシュートを弾き出した。

「ドリブルがキレていたし、体の使い方もうまかった」と指摘する豊川を中心とした大津(熊本)の猛攻にも「やられる気はしなかった」と力を込める。終盤はDF植田直通(3年=鹿島アントラーズ内定)も前線に上がり、パワープレーに出てきた。それでも「デカいし、迫力はあった」と言いながら見事にシャットアウト。80分間を無失点に抑え、PK戦にもつれ込んだ。

 PK戦では相手2人がポストに当て、一人は枠を外した。「一つは止めたかった」と悔やむが、5本中3本はコースを読んでいた。大津5人目の豊川のキックにも反応していたが、ボールは指先を抜け、しかしポストを直撃。「助かったな」と安堵する守護神のもとに次々とチームメイトが駆け寄り、歓喜の輪が広がった。

 高円宮杯U-18サッカーリーグ プレミアリーグEASTでの経験も生きた。「守る試合が多くて、攻められてもブレないメンタルというのができた。全国レベルではシュートのタイミングも早い。慣れというか、感覚として高いところに持ってこれた」。富居徹雄監督は「この4、5年で一番下手くそなチーム。ビックリするぐらい下手」と現チームを評する。それでも永井の「スーパースターは欲しいけど、サッカーはやりよう。大津にはスーパースターと呼ばれる選手がいたけど、こうやって勝つことができる」との言葉にも説得力がこもる。

「勝ちに行って勝ったので、想定内。僕らは国立を目指している。まだ一つ勝っただけで、通過点という感じです」。注目の植田、豊川を擁し、優勝候補にも挙げられた大津を撃破しても満足することはない。まずは初の3回戦進出へ、来年1月2日の2回戦では米子北(鳥取)と対戦する。

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2012
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