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[選手権]鹿児島城西、関東勢に連続勝利!!

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[1.2 全国高校選手権1回戦 前橋育英0-1鹿児島城西 駒場]

鹿児島城西(鹿児島)が1回戦の鹿島学園(茨城)に続き前橋育英(群馬)も破り、3回戦へと駒を進めた。

してやったりの勝利だ。
1回戦を快勝した前橋育英のFW外山凌(3年)は戦前、「打ち合いにもっていかせないようにしたい」と語っていた。試合の入りからお互いが要所を締める。ポゼッションを高めてゲームを支配にかかる前橋育英に対し、カウンター狙いの鹿児島城西という構図は、1回戦から両チームが継続しているスタイルだった。鹿児島城西の強力2トップにゴールを許さない展開は、ある意味前橋育英も望んでいたものだっただろう。

しかし、見る者に後半勝負になるかと思わせた刹那だった。前半最後の最後にゲームが動く。
「ロスタイム1分」の表示が出された直後だった。鹿児島城西が右CKからDF新納洋輝(3年)がヘディングゴールを決めて先制。そのままハーフタイムへと突入する。

「ハーフタイムのロッカールームではみんな普通に声を出し合っていたが、メンタル的には結構キていた」(前橋育英・外山)というように、インパクトのあった先制ゴール。これが結局決勝点になってしまう。

1回戦で宮古(沖縄)相手に5ゴール大勝した前橋育英だったがこの日は不発。対して1回戦で鹿島学園に3ゴールを許した鹿児島城西だったがこの日はゼロ封に抑えてみせた。鹿児島城西の作戦勝ちだった。
「MF濱上大志(2年)とMF南祐輝(2年)をダブルボランチにしてブロックを作った。前橋育英さんは力がありますから、なんとか(大量失点せずに)サッカーのスコアにするにはどうしたらいいかを考えた末の決断だった。選手はよく理解してくれています。粘っているし集中力も持っている」とは試合後の小久保悟・鹿児島城西監督の弁だ。

本来は濱上をトップ下に配置し、中盤はダイヤモンドの形をとるが、この試合ではボランチに下げてブロックを作った。
結果として、このポジション変更が吉と出る。
後半も左サイドから必死にチャンスメイクをし、自らも切れ込んでいった前橋育英の外山が淡々と敗戦を振り返ってくれた。
「相手はワンボランチでくると踏んでいました。であればスペースもできてセカンドボールを拾える。そこからさらに攻めようと考えていた。でも実際はダブルボランチでセカンドボールを拾えず、パスも回せず、相手の蹴ってくるサッカーにつきあってしまった。自分たちのサッカーができず、組織的でなく蹴ってくるサッカーに負けてしまったというのは悔しいですし、不完全燃焼です」。

鹿児島城西のサッカーは前からプレスをかけていきカウンターを見舞うのがスタイル。しかし、1回戦につづき2回戦も自分たちの本来の形を曲げ、相手に合わせたプランで結果を出している。
「絶対失点せずにセットプレーでゴールする。まさにプランどおりでした」とボランチに入った鹿児島城西の濱上が明かしてくれた。

リーグ戦であればまだしも、本来選手権のような一発勝負のトーナメント戦では相手に沿ったプランは採りにくい。相当綿密な分析がなければ裏目に出る確率が高いし、自分たちの形をもって臨む方が思い通りにいく確率は高い。
「自分たちは力がないから」と鹿児島城西の小久保監督は謙遜するが、これで2戦連続の作戦勝ち。守備的とはいえ割り切ったプランでいくには「勇気」が必要だ。1、2年生が多いチーム構成、鹿児島城西は何にも代えがたい経験を蓄積中である。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文/伊藤亮)


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