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[MOM719]東海大仰星FW日下部孝将 (3年)_11大会ぶりゴールで歴史の扉を開く

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 東海大仰星1-0聖光学院 駒沢]

 今回が4度目の選手権出場となる東海大仰星(大阪)にとって、第80回大会の2回戦・東福岡戦(3-4)以来となるゴールだった。前半39分、中盤からMF江郷下奨(1年)が蹴ったロングボールが、聖光学院(福島)の最終ラインの裏に落ちる。そこに走り込んだFW日下部孝将(3年)は、確実にシュートを決めて見せた。「裏に抜けた後に、GKの動きもしっかり見えたので、空いているコースに蹴り込もうと決めていました。あの形はチームとして狙っていました」と、胸を張った。

 前半から聖光学院を押し込みながら、なかなか得点を挙げられない。そんな中で挙げた価値あるゴールだった。サイドに人をかけて、ショートパスで相手を崩すこともできるが、一本のロングボールで決定機に持ち込めるときは、そのチャンスを逃さない。チームとして、長短両方の速攻が使えるのも、前線に快速の日下部がいるためだ。だが、日下部自身は「タイムで言うと、50メートル6秒5くらいだから、そんなに速くはないんです」と、明かす。それでも彼が『速さ』を売りにできるのは、相手の状況を見て加速をしているからだ。

「走り出す前に、相手DFの目線だったり、体の向き、あとはパサーの状態を見ています。今日の得点の場面では『江郷下が前に蹴れる状況だな』と思ったので、相手より早く前に出られましたし、それによってGKの動きも見えました」と振り返り、「これまで(東海大仰星は)3回、選手権に出ていたのですが、ベスト16に進出したことがなかった。その歴史を変えられたことが何よりうれしい」と、笑顔を見せた。

 大阪府予選で日下部は、大会を通じて2ゴールに終わっていた。それでも中務雅之監督は「決してゴールを量産するようなタイプではない。でも、うちは全員でボールを奪って、全員でゴールへ向かうチーム。今日は結果的に日下部が決めてくれたが、全体的にゴールを取れるチームだし、日下部も前線からチームのために本当に献身的にプレーしてくれる」と、評価する。

 それでも、日下部にはストライカーとしての欲求がある。「3回戦でも、目の前の相手としっかり戦って勝ちたい。個人としては、ゴールを挙げることもそうですが、大会得点王になりたいです」と、高い目標を設定した。自身のゴールで、一つの歴史を書き換えたストライカーは、3回戦の長崎総科大附(長崎)戦でも新たな歴史をつくり出す。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 河合拓)

【特設】高校選手権2012
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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