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[選手権]前回得点王、広島内定FW浅野は無得点敗退「もっとみんなとサッカーしたかった」

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[1.2 全国高校選手権2回戦 桐光学園4-2四日市中央工 三ツ沢]

 前回大会得点王の四日市中央工(三重)FW浅野拓磨(3年、サンフレッチェ広島内定)は無得点で今大会から姿を消した。シュート数はわずか1本。前半18分に高速ドリブルで中央を駆け上がり、後半18分には左サイドでDFを振り切って決定的なラストパスを配球した。見せ場はつくったものの、「選手権得点王」は期待に応える結果を残すことは出来なかった。「高校サッカーで100パーセントプレーして、ここで精一杯頑張ることで先があると思っていた。もっともっとみんなとサッカーしたかったというのがある。悔しい。悔いは残っていないですけど、もっともっとできたんじゃないかと思っています」と無念さを滲ませていた。

 準優勝した前回大会から浅野らレギュラー8人が残り、周囲の「今年こそ日本一」という期待は高まっていた。その中で迎えた初戦。チームは前半、強烈な向かい風の中でもダイレクトパスとドリブルを交えて敵陣までボールを運んでいた。ただ、全体的に細かなミスが多く、ボールを受けることができない浅野は自然と中盤へ降りてくる回数が増えてしまった。「チーム全体的に慌ててしまった。『自信持ってボールをつなごう』と言っていて、フィーリングがあった時はいいパス交換ができたと思うけれど、もっと自信を持って増やしたかったなと思います。風の影響もあってなかなかボールを前に持っていけない状況だった。自分もボールを触るためには下がるしかなかった」

 ただ情勢は変わらず。粘り強い守りを見せていた守備陣が連続失点を喫してしまい、前半を0-3で折り返してしまう。後半、猛反撃を見せた四中工はいずれも左CKからCB坂圭祐(2年)が決めた2ゴールによって1点差にまで詰め寄ったが、その後決定機をつくりながらもあと1点が奪えない。逆に相手に4点目を献上して敗れてしまった。「相手が前半だけで3点取れたということは自分たちにもあと半分で3点取れるというのは思っていた。(後半に関しては)本当に前から行くしかない、このままだとどう見ても負けるのは分かっていたので、自分たちが前から行って点を取りに行くしか無いと分かっていた。そして、早い時間帯で2点取れたというのは自分たちの力あるな、と思っていたけれど、3点目が取れなかった」。

 プリンスリーグ関東王者の桐光学園の強さを素直に認めていた選手たち。ただ力を発揮することができなかったという思いがある。「注目、プレッシャーを受けることは幸せなこと」と語っていた浅野も、チームもプレッシャーを跳ね返して勝利することはできなかった。「期待されていることがプレッシャーとは感じてなかったですし、自分たちのプレーを100パーセント出せれば全国でも通用する力があると思っていた。ただ、感じないと思っていても感じてしまうプレッシャーだったり、最終学年でこれが最後の大会という変なプレッシャーがあった。かと言って、そのせいで負けたかというと全然違う。自分たちの力が出せなかったというのが今の実力。もっともっとプレッシャーにも負けないように、きょうだったらお客さんが凄くたくさん見てくれていて、その中で自分たちのサッカーができなかったというのが、ダメだったかなと思います」。これから、常にプレッシャーと隣り合わせとなるプロの世界へと飛び込む浅野はこの日の敗戦を自身の成長への糧とする。J1王者の連覇の力となるためにも、常にプレッシャーに打ち勝つ選手になる。

写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)

【特設】高校選手権2012

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