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[MOM743]星稜FW今井渓太(3年)_途中出場のエースがチーム救う2戦連発

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権準々決勝 星稜1-1(PK5-4)東海大仰星 フクアリ]

 気持ちで押し込んだ。0-1で折り返した後半開始から投入された星稜(石川)のFW今井渓太(3年)は自分がゴールを決めることしか考えていなかった。後半17分、右サイドを突破したMF井田遼平(3年)のクロスに逆サイドから走り込むと、DFの頭上を越えてきたボールを体ごと押し込む。「たぶん太腿。自分でも覚えてない」と苦笑いした泥臭いゴールが試合を振り出しに戻した。

 3回戦の青森山田戦(2-0)に続く2試合連続ゴール。しかも、いずれも途中出場で奪ったものだ。石川県大会では全4試合に先発し、通算5ゴールで得点王にも輝いたエースが、今大会は3試合すべてベンチスタート。「悔しいけど、チーム全員で戦わないと勝てないと思っているし、チームが勝つためなら耐えられる。今、自分に何ができるかを考えてベストを尽くしている」。悔しさを押し殺し、フォアザチームで文字どおりチームを救った。

 1-1のまま突入したPK戦では、4-4で迎えた後攻5人目のキッカーを務めた。決めれば8大会ぶりの国立が決まる場面。「緊張した」と話す今井のキックはミートしなかったが、GKが必死に伸ばす手の先を抜け、ゴールネットを揺らした。「ちょっと失敗したけど、決められてよかった」。勝利を決めた背番号9はGK置田竣也(3年)のもとへ。失点につながるミスを犯した守護神と抱き合い、「自分が点を取って、ミスをカバーしたいと思っていた。チーム全員でカバーして勝利につなげられたことがよかった」と歓喜に浸った。

 MF本田圭佑(CSKAモスクワ)を擁した04年度大会以来のベスト4。「あのときは本田頼みのチーム。このチームに本田のような選手はいないが、全員が一人を助けて、一人は周りを生かすフォアザチームでやれている。そこが一番の特長」と河崎護監督は言う。まさにそんなチームの信念を体現した勝利だった。

 12日の準決勝では鵬翔(宮崎)と対戦する。勝てば本田を擁した04年度大会の記録を塗り替え、同校初、石川県勢としても初の決勝進出となる。舞台は東京・国立競技場。「今は実感がないけど、目指してきた場所なので思い切りプレーしたい」と意気込む今井は「チーム全員で日本一の目標を掲げている。(本田を擁した04年度の記録を)超えたいですね」と、あくまで頂点を見据えた。

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2012
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