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[選手権]鵬翔の初Vに“吉兆データ”、矢野主将「力になる」

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 第91回全国高校サッカー選手権は明日14日、東京・国立競技場で決勝を行い、互いに初優勝を懸けて鵬翔(宮崎)と京都橘(京都)が激突する。決戦前日の13日午後、鵬翔は横浜市内で最終調整。主力組は軽めのメニューで決勝に備えた。

 準決勝・星稜戦では、「手違い」(松崎博美監督)で星稜の映像を入手できず、何の情報もないまま試合に臨んだ鵬翔だが、この日の午前中には京都橘の映像を使ってミーティングを行った。アンカーを務めるDF矢野大樹主将(3年)は「相手は2トップが強力なので、DF陣と話し合いながら対策を練りたい」と、京都橘のFW仙頭啓矢(3年)、FW小屋松知哉(2年)を警戒する。

 今大会5ゴールで得点ランキング首位に立つ小屋松と、4ゴールで同2位タイの仙頭。快足2トップを擁し、初Vに王手をかけた京都橘の攻撃をいかに抑えるか。「耐えることが重要。いつもどおり守備から入っていきたい」と話す矢野だが、「どんな崩しで仕掛けてくるか、イメージはできている」と、鵬翔自慢の堅守に自信を見せた。

 決勝は右SBのDF柏田崇走(3年)が累積警告で出場停止。ベストメンバーを組むことはできないが、矢野はキャプテンとしてチームを信頼する。準々決勝の立正大淞南戦(3-1)もMF川崎皓章(2年)が出場停止で不在だったが、チーム全体でカバーし、セットプレーからの3発で快勝。「だれが入っても、しっかり仕事をしてくれると思う。あいつ(柏田)が一番つらいと思うし、あいつのためにもしっかり日本一になれるようにがんばりたい」と力を込めた。

 宮崎県勢としても初のベスト4、初の決勝進出と、次々と歴史を塗り替えてきた鵬翔イレブン。初優勝へ、心強いデータもある。準々決勝で立正大淞南(島根)に勝った鵬翔だが、2010年度以降の全国大会で立正大淞南を下したチームはすべてそのまま日本一まで上り詰めている。

 2010年度の全国高校総体では、準々決勝で立正大淞南を3-2で下した市立船橋(千葉)が2年ぶり7回目の優勝を果たし、同年度の全国高校選手権では、準決勝で0-0からのPK戦の末、立正大淞南に競り勝った滝川二(兵庫)が初優勝を成し遂げた。2011年度の全国高校総体でも、準決勝で立正大淞南を2-1で破った桐蔭学園(神奈川)がそのまま初優勝(同年度の全国高校選手権は立正大淞南が不出場)。そして、2012年度の全国高校総体では、準決勝でPK戦の末、立正大淞南を振り切った三浦学苑(神奈川)が初出場初優勝の快挙を達成している。

 そんな“吉兆”について矢野は「(立正大淞南に勝った)準々決勝が終わって、宮崎に戻ったときにみんなで話していた」と明かす。「そういうこともあるんだと。もしかしたら自分たちには当てはまらないかもしれないけど、力になる」。過去のデータはデータとはいえ、心強い情報であることに違いはない。

 昨年12月30日、国立競技場で行われた開会式では、出場48校のキャプテンの一人としてメインスタンドに上った。あれから15日。もう一度、メインスタンドに上って優勝カップを掲げられるのは、ただ一人だけだ。「またあそこに上ってカップを掲げて、優勝旗を宮崎に持ち帰りたい」。同校初、宮崎県勢初の全国制覇まで、あと1勝だ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2012

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