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[選手権予選]強豪連破!聖望学園がシード校・埼玉栄破り16強へ:埼玉

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[10.14 全国高校選手権埼玉県予選2回戦 聖望学園3-1埼玉栄 西武台G]

 第92回全国高校サッカー選手権埼玉県予選は14日、2回戦を行い、聖望学園がシード校の埼玉栄を3-1で撃破。花咲徳栄と戦う3回戦へ進出した。

 退場者を出しながらも、新人戦と関東大会予選4強の越谷西との延長戦を10人で制した激闘から中1日。聖望学園が強豪を連破して16強入りを決めた。前半は埼玉栄がボールを保持。アンカーのMF矢野魁人(3年)を起点にゆっくりとボールを動かし、サイドに追いやられても相手を外してボールをつなぎ続ける。ただ、なかなか相手の懐を刺すようなパスを通すことができず。ディフェンスライン背後へのボールは非常に守備範囲の広い聖望学園GK浅見俊貴(3年)に処理され、10番MF田中康平(3年)が積極的に放ったミドルシュートも得点にはつながらなかった。

 聖望学園は山本昌輝監督が「(守備面は)狙いどころだけを定めて取りに行くところをはっきりとして、奪った後の攻撃の仕方とセットプレーのところだけ確認して挑んだ」と説明したように下手に相手のパス回しに食いつかずに、狙い定めた守備からカウンターを繰り出した。そして2年生のドリブラー、FW原島安寿が突破力を発揮。前半から脅威になりつつあったFWは前半27分に左サイドから一気にPAへ侵入してGKと1対1のシーンをつくり出し、聖望学園はFW五味佑樹(3年)のドリブルシュートなどでも相手ゴールへと迫った。

 試合が動いたのは後半5分だ。聖望学園はFW田村航輝(3年)のラストパスで中央を抜け出した五味が右足で先制ゴールをねじ込む。歓喜の五味ら水色のユニフォームがピッチラインギリギリまで飛び出してきた応援団の元へ次々と飛び込み、青色のメガホンが揺れる。一方、先制された埼玉栄は15分に矢野の左クロスから中央のMF靏岡能也(3年)が決定的なダイビングヘッド。だがこれはGK浅見のビッグセーブに阻まれ、22分に矢野が放った強烈な右足シュートも再び浅見に右手でかき出されてしまう。

 逆に聖望学園は23分、スペースへ飛び出した濱崎快(2年)がPAで競り勝つと、最後はMF中釜拓未(3年)が値千金の2点目のゴール。勝利へ大きく近づくゴールを決め、応援団へ向けて走りだした中釜に対し、応援団もタッチラインを越えるような勢いで迎え入れて興奮を分かち合っていた。だが埼玉栄も27分、左サイドからゴールラインを個人技で打開した田中が中央へラストパス。これをCB小林拓海(2年)が押し込んで再び1点差とする。

 ピッチサイドで必死に声援を送るチームメイトたちの声に後押しされた埼玉栄は一気に同点を狙う。それでも聖望学園は後半31分、MF荒木智泰主将(3年)の右FKを中釜が頭で合わせて3-1。殊勲の中釜は「技術はあまり自信ないですね。(初戦でもシュートミスがあったが)でもきょうは絶対取れると思いました。絶対に決められる自信があったので、入ると思いました。3年間やってきてこれで終わる訳ないと思いました」。“技術はない”というMFの3年間の努力が結果につながった聖望学園は、約6分間のアディショナルタイムも相手に追撃を許さず、2回戦を突破した。

 山本監督は「越谷西戦も延長まで戦ったかなりタフな試合で、選手たちも満身創痍でテーピングもグルグル巻きだったんですけど、本当によくやってくれました。これまでは自信のない子たちだったんですけれど、(勝ち続けて)自信がついて来たと思う。行けるところまで勝ち抜いていければ。まずは目の前の試合。去年ラウンド16で負けているので、何とかもうひとつ勝って、という気持ちは選手も私自身もある」と8強入りを懸けた次戦へ目を向ける。そして中釜は「自分たち最初から全国へ行くつもりでやってきた。それを目標にやっていきたい」とさらなる躍進を誓っていた。

[写真]聖望学園がシード校撃破。2ゴールの中釜がガッツポーズ

(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2013

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