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[選手権予選]倉敷翠松は惜敗も初の岡山4強入り!元岡山DF、代表MF弟に持つ青山監督の下で大躍進

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[11.4 全国高校選手権岡山県予選準決勝 作陽1-0倉敷翠松 笠岡陸上競技場]

 初めて岡山準決勝へ進出した倉敷翠松が大会8連覇中の王者・作陽に食い下がった。圧倒的な攻撃力を誇る相手に対し、守備陣はPAへ持ち込まれても最後のところで足を伸ばし、相手のサイド攻撃、セットプレーから放たれた決定的なシュートはGK小野敦(3年)が驚異的なセーブで次々とストップ。風下で一方的に攻められた前半を0-1で折り返すと、後半には中盤でのダイレクトのパスワークやセットプレーからゴールチャンスもつくり出す。後半24分に左FKのこぼれ球をMF岩崎有佑(3年)が右足で狙った決定的なシュートが枠を外れるなど最後まで1点を奪えなかったが、4強初挑戦の倉敷翠松が周囲の予想をいい意味で裏切る好ゲームを展開してみせた。

 元々女子校だった倉敷翠松は5年前に元岡山DFの青山裕高監督が就任してから徐々に力をつけ、今回は県4強に初めて名乗りを上げた。対戦相手の作陽は以前、青山監督が1年間コーチを務めていたという因縁の相手でもあったが、選手たちは決勝進出を信じて最後まであきらめない戦いぶり。後半16分に長身選手2人を前線へ配置し、残り5分からは3バックにして攻撃に人数をかけるという2段階の反撃で同点ゴールをもぎ取ろうとした。巧者作陽からゴールを奪うことはできなかったものの、作陽の野村雅之監督も「集中切らさず身体張っていた。シュートブロックもかなりやられたし、通常あれだけ振り回していたら集中切らして最後足が出てこないところをウチの攻撃が単調だったところもあって、最後まで足が出てきていた」とその戦いぶりを讃えていた。

 部員142人の作陽にマネージャーを含めて36名の部員で立ち向かった倉敷翠松の挑戦。ほぼ地元・倉敷市内の選手だけで構成されたチームはこの日、名門に実力差を見せつけられた一方で先発4人の2年生を残す来年以降にも十分に期待を抱かせる戦いを見せた。青山監督は「(4強入りの要因は)3年間頑張ってくれた子どもたちの頑張り。今年の子はなかなか勝てなかったですけど、最後にこういう経験をさせられて良かった。会場全体の雰囲気をいけるんじゃないかという雰囲気にしてくれた」と感謝した。

 地元の倉敷を離れ、高校時代を東海大五高(福岡)で過ごしたあとに岡山へ戻ってきた青山監督は「地元に恩返ししたい。ちょっとでも貢献したいですね。ここでやりたいというチームへ。ここへ来れば、(県のトップレベル相手にも)頑張れるという環境を提供できればと思います」と無名だった倉敷翠松の強化に努めている。青山監督の弟はサンフレッチェ広島に所属する日本代表MF青山敏弘。その弟と比較されることが嫌だったという昔から「(青山の兄と言われても)今は流せることができるようになりました。弟もよろしくお願いします」と微笑みながら語った若き指揮官と倉敷翠松の今後の挑戦に注目だ。

(取材・文 吉田太郎)
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