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[選手権予選]U-17W杯日本代表MF鈴木、好守で伝統校対決勝利の立て役者に

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[11.10 全国高校選手権群馬準決勝 前橋育英1-0前橋商 群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場]

 前橋育英のU-17W杯日本代表MF鈴木徳真(2年)がチームを救った。山田耕介監督が「本当の持ち味は守備なんですよ。読みもいいし、アイツのストロングはそこ。(鈴木が不在の試合では)なんであそこパスが通るんだろう、でも徳真だったら読んじゃうんだろうなという場面がある」と評価する鋭い読み。本人も「前にチャンスをつくれる選手いるので、後ろでしっかり守ることが、自分がやることかなと思いました。欲を言えば前に行きたいんですけど、自分はミスを怖れてしまって前に行けていない。その分、自分よりも前に行く力のある選手たちが自分の隣や前にいたりするので、その人達がやってくれることを信じて舵取りをしています」と語っていたが、決定機に絡む仕事よりも中盤での守備面やゲームメークで際立った存在感を放っていた。

 特に中盤で見せる守備は非常に印象的だった。前線に入ってくるボールをインターセプトし、中盤で前を向いた選手を厳しいチェックで潰していく。試合終了間際にはスルーパスで抜き出しかけた相手アタッカーの前に強引に身体をねじ込んで決定機を阻止した。1-0から追加点を奪うことができない展開の中、安定した戦いで伝統校対決を制したチームに鈴木の存在は欠かせなかった。

 ただ2年生ながら伝統のエースナンバー14を背負う鈴木に指揮官は「もうちょいボールを触って、展開して自分でゲームコントロールする感じでやってもらいたい」と攻撃面でもより違いをつくり出す役割を期待する。本人も意識的に切り替えの速いプレーで前線へ飛び出していくことなどしているが、選手権では周囲からの“エース”の期待にも応えてチームの勝利に貢献していく。

 そして「3年生は力あるチーム。(3年生にとっては)最後の大会なので、(同じU-17W杯日本代表の渡辺)凌磨とオレがケツから押し上げていけるように。後輩が頑張っている姿を見せて、先輩はもっと頑張ってほしいなっていうところでやっていきたい。それくらい頑張っていきたいと思っています」と2年生の自分が先頭に立つくらいの意欲で選手権を戦っていくことを誓った。

 16強へ進出したU-17W杯での経験について「世界へ一歩を踏み出す大きな大会だったかなと思っています。こんなにいい経験を若いうちにできるということは本当に幸せなこと。この経験をみんなより先にしているということは、この経験を上手く活かせば自分は少しでも早くプロとかA代表につなげていけると思う。みんなに伝えながら、自分の肥やしにしていければと思います」と語った。U-17W杯の活躍で注目度が高まる中、「自分たちがやることは変わらない」と前だけを向く名門の14番に注目だ。

(取材・文 吉田太郎)
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