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[選手権]広島皆実、「堅守強攻」ピタリ!丸岡は高さ活かせず…

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[12.31 全国高校選手権1回戦 広島皆実3-0丸岡 駒沢]

 広島皆実(広島)が、丸岡(福井)の高さを封じ込め、全国優勝した2008年大会以来の選手権勝利を挙げた。身長の高い選手をそろえ注目された丸岡だったが、その強みをいかすことができずに悔しい完封負け。広島皆実は1月2日(木)、味の素フィールド西が丘で松商学園(長野)との2回戦に臨む。

 伝統の「堅守強攻」が威力を発揮した。守備では丸岡の前線に張る長身ストライカー、185センチのFW辻川雄太(3年)とFW前田亮(3年)に自由にさせない。「うちは上背がないぶん、ヘディングも一発勝負で勝てなくても拾う。セカンドボールを取ることを意識しました。県内でも広島観音や瀬戸内と戦う際、“対高さ”は課題のひとつでしたので」と広島皆実の藤井潔監督は言う。

 そして攻撃では、守備からの切り替えの速さ、そして長短織り交ぜたパスを中心にリズムよく攻め続けた。「一人で持っていけるタイプの子がいるわけじゃないので、連動性の中でゴールを上げる」(藤井監督)狙いどおりの展開。キックオフから主導権を握ると、前半22分にMF重廣卓也(3年)が相手クリアミスから回ってきたボールを右足で振り抜く。シュートはDFに当たってゴールイン。自分たちの流れの中で先制すると、続く27分には右サイドからDF赤松義也(3年)が左足でクロス。丸岡CB2人の真ん中を縫うようにペナルティエリア内に侵入したMF亀井政孝(3年)がフリーで頭で合わせ追加点。後半立ち上がりの6分には、相手のミスから最後はFW横路翔太(2年)が持ち込み3点目を挙げた。

 丸岡の小阪康弘監督は「全国でミスをしたらやられる、ということが改めて分かった。しかし、そこをきっちり突いてくる広島皆実さんは歴戦だと思う。1枚も2枚も上手だった。マークの受け渡しはしていたが、基本的な走力があったし、スペースを抜けてくる走りをする。スゴイな、と思いました」と、うなだれた。「うちが押し込む形になることは中々ない。少ないチャンスを決めるしかない」(小阪監督)というが、その怖さの片鱗はうかがえた。後半23分の右CKの場面。前田のボールに辻川がダイビングヘッドで合わせるも、ボールはゴールの枠をとらえず。得点にこそならなかったが、やはり「高さ」というのは調子や流れに左右されない絶対の武器だ。だがいかんせん、獲得したCKが80分を通してこの1本だけだったことが悔やまれる。もっとも、広島皆実がCKを与えなかった、ともいえる。

「セカンドボールを拾えなかったのが、うまく攻撃できなかった一番の理由」と小阪監督は振り返る。この言葉からわかるのは、広島皆実には相手のストロングポイントを正確に分析し、的確に対策を打ち立て、明確に実行できる力があるということだ。

「この1勝は、正直めちゃくちゃ嬉しいです。最初から勝てるチームではなかった。いいDF陣でもなかった。そこからポジショニング、ライン統率、チャレンジ&カバーとやってきた。DFラインに関しては県内の瀬戸内などに鍛えてもらいました。そして本大会で、攻撃力のあるチームに粘り強くやってくれた。成長している姿が見えて嬉しいですね。さらに県大会ではできなかった弾いて拾って攻撃、という形が少しできた。ここから攻めきったり、2次攻撃、3次攻撃と分厚い攻めができるようになれば、さらに1ランク、2ランク上がることができると思います」。全国制覇の味を知る藤井監督。国立への課題と道筋は初戦突破で見えた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 伊藤亮)

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