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[選手権]圧倒V狙う大津と「最強の挑戦者になる」こと目指してきた前橋育英、注目対決が初戦で実現!

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 16日に都内で行われた第94回全国高校サッカー選手権の組み合わせ抽選会。この日、1、2回戦で計24の対戦カードが決まったが、その中で最も会場が沸いたのは昨年度準優勝校の前橋育英高(群馬)と、ともに来季G大阪加入が内定しているCB野田裕喜主将(3年)、FW一美和成(3年)擁する大津高(熊本)との対戦が決まった瞬間だった。両主将は強豪対決を歓迎。大津の野田主将は「嬉しいです。相手が強豪なんで、自分たちが勝てば勢い乗っていけると思うんで楽しみです」と堂々と答え、前橋育英のMF尾ノ上幸生主将(3年)は「去年のインターハイで大津に負けているので、そのリベンジというのと、Jリーグ内定者が2人いて、その選手たちと戦えるというのは楽しみな気持ちでいっぱいです」と前を向いた。

 両校は昨年の全国高校総体準決勝で対戦。当時は1-0で大津が勝ち、初の決勝進出を果たした。今年は対戦していないという両雄が今回、全国初戦で激突。昨夏の対戦時にCBとしてフル出場している大津・野田は「去年は渡邊凌磨さん(現インゴルシュタットU23)や鈴木徳真さん(現筑波大)がいて上手いという印象だったので、前育は上手いという印象です」と語り、一方の尾ノ上は「力強いチームだと思います」と大津の印象を口にした。

 昨年からの主力を半数近く残す大津は今年、九州新人大会を26年ぶりに制し、プリンスリーグ九州も圧倒的な強さで首位独走。梅雨明けの遅れによる調整不足と怪我も影響した全国総体は3回戦で苦杯をなめたが、今回の選手権予選では準決勝と決勝だけで何と17ゴールを叩き出している。「全てのプレーで高校生離れしているというか、周りと同じプレーをしていたらダメだと思うので、パスだったり、守備の時の対人だったり、『アイツは違うな』というプレーをしたいです」と語る野田や一美だけでなく、10番MF吉武莉央(3年)やFW原岡翼(3年)、MF河原創(3年)らGKから前線までそれぞれがストロングポイントを持つ選手が並び、彼らが質の高いパスサッカーを繰り出すチームは優勝候補の一角と言える存在だ。

 一方の前橋育英は昨冬の全国準優勝を経験したのはFW横澤航平(3年)やFW野口竜彦(3年)らがわずかな時間出場しただけで、主力が大きく入れ替わった今年、苦しいシーズンを送ってきた。群馬を代表する存在が、新人戦、総体予選ともに決勝で桐生一高に敗れて準優勝。プリンスリーグ関東は上位争いに食い込んでいるが、納得の行く結果を残してきたわけではない。それでも選手権予選では「最後まで去年取れなかった日本一を取るというのはブレずにやってこれたので、インターハイとか負けたいろいろな悔しさもこの大会にぶつけられたと思います」(尾ノ上)という思いで執念の優勝。ブレずに、昨年できなかったあと1勝を目指してきたチームは昨年以上の取り組みとして、私生活や学校での態度など、練習以外の部分にも力を入れる取り組みを続けて、その結果、まずは全国切符を死守した。

 今年1年間の歩みと同様に、両者の全国へ臨む姿勢も分かれている。「自分たちの良さを出して、相手は前育なんですけど、相手を圧倒できればなと思います。(これまでも)日本一取ると言っていたんですけど、『圧倒して取りたい』なと思います」と大津の野田が強気に目標を語った一方、前橋育英の尾ノ上は「プレッシャーがいろいろあったり、去年より弱いと言われてきたんですけど、自分たちは『最強のチャレンジャーになる』と言ってずっとやってきたので、そこはブレずに最後まで戦いたいと思います」と静かに力を込めた。相手を圧倒して頂点を目指す強豪か、「最強のチャレンジャー」となることを狙う前回準優勝校か。注目対決(2回戦)は16年1月2日、フクダ電子アリーナで開催される。

[写真]初戦で注目対決が実現。大津CB野田主将(右)と前橋育英MF尾ノ上主将が健闘を誓い合う

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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【特設】高校選手権2015
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2015

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