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[選手権予選]“苦手意識”持っていたPK克服、GK木村のビッグセーブで鹿島学園が全国へ:茨城

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PK戦で好セーブを見せてチームを全国へ導いた鹿島学園高GK木村壮宏

[11.19 全国高校選手権茨城県予選決勝 鹿島学園高 1-1(PK5-3)明秀日立高 カシマ]

 19日、第95回全国高校サッカー選手権茨城県予選の決勝戦が行われた。顔を合わせたのは夏の全国高校総体でベスト16入りした鹿島学園高と、昨年度の選手権代表校・明秀日立高。今季、公式戦4度目の対戦となった両者の対決だったが、鹿島学園が1-1で突入したPK戦を制して4年ぶり8回目の選手権出場を手中に収めた。

 試合前から降り続いた雨の影響で、ピッチに水溜りが出来るコンディションで迎えた大一番。それでも鹿島学園は劣悪な状況を跳ね退け、前半12分にエース・FW上田綺世(3年)の直接FKで先制点を奪った。しかし、その後は追加点を奪うことが出来ず、29分に迎えたPKのチャンスも上田がバーに当ててしまう。すると、後半は明秀日立に猛攻を仕掛けられ、防戦一方の展開に。20分には途中出場のMF荒井彗伊大(2年)にゴールを許し、同点に追い付かれてしまった。その後は互いに攻撃を仕掛けたが延長戦でも決着せず、勝敗の行方はPK戦に委ねられた。
 
 この状況でチームを救ったのはGK木村壮宏(3年)だった。互いにPKを沈め続け、迎えた後攻・明秀日立の3本目。「とにかく落ち着いて止めることだけを意識していた」という守護神は、松永健太(3年)が右に蹴ったキックを完璧にストップ。これが勝負の分水嶺となり、チームはカシマスタジアムで歓喜の時を迎えた。

 PK戦で輝きを放ち、チームのヒーローとなった木村。しかし、PK戦は得意ではなく、自らのウィークポイントだったことを試合後に明かした。自身でその弱点に気付いたのは総体の県予選前。「PK練習でなかなか止めることが出来なかった。なので、少し止め切れないなという感じになって、苦手意識が付いてしまった」と自らが語るように、中学校時代は得意だったモノに負のイメージを持ってしまった。実際に全国総体ではPK戦に2度勝利したが、シュートストップした回数は0。鈴木監督も「相手が外してくれていた」と語り、自身の活躍でPK戦を制したことは皆無だった。

 この状況から木村は弱点を克服するべくトレーニングを開始。特に選手権期間中を含めた直近の3週間は、「塩野(清雅、3年)と自分に練習に付き合えと言って来て、ほぼ毎日、自分からPK練習をやっていた。飛ぶタイミングや蹴る場所を指定して、いかに飛んで弾くかをずっとやっていた」と上田が語るように、全体練習終了後に居残り練習を行って来るべき日に備えていた。その特訓の甲斐もあり、今回のPK戦では「方向を決めてしっかりと弾くこと」(木村)に成功。全国総体でボールに触りながらも弾き切れなかったという課題を解消し、チームの勝利に大きく貢献してみせた。

 仲間と共にPK練習に励み、選手権出場に大きく貢献した木村。試合後には、「やっと自分がチームを勝たせることが出来た。GKとして少しだけですけど、役割を全うできた。本当にインターハイの時はフィールドの選手が決めてくれて勝てていたので、自分が止めて良かったと思う」と頬を緩ませた。しかし、まだ終わりではない。「闘志を剥き出しにしていて、メンタルに強い意志があるので憧れている」日本代表のGK川島永嗣のように勝負強さを見せて、選手権でも輝くことが次なる使命だ。今度は全国の舞台でPKを止め、過去最高成績のベスト4越えを誓う。


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