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今年は自分たちが全国で輝く!練習、対外試合で自信深めた矢板中央が粘る小山西をねじ伏せて栃木決勝進出

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前半14分、矢板中央高FW望月謙が先制ヘッド

[10.28 選手権栃木県予選準決勝 矢板中央高 5-1 小山西高 栃木グ]

 第96回全国高校サッカー選手権栃木県予選準決勝が28日に行われ、矢板中央高が小山西高に5-1で勝利。矢板中央は11月4日の決勝で佐野日大高と戦う。

 U-17日本代表MF松井蓮之(3年)や10番MF飯島翼(2年)ら注目選手を擁し、2年ぶりの全国出場を目指す矢板中央と、新人戦準決勝で矢板中央と延長戦へもつれ込む熱戦を繰り広げている小山西との準決勝。試合前に高橋健二監督が「あれからどれだけ練習で積み上げて来ることができたか」と語っていた一戦で、矢板中央は後半に差を広げて小山西をねじ伏せた。

 矢板中央は前半14分、CB高島祐樹(3年)が後方から蹴り込んだFKを190cmFW望月謙(2年)が抜群の高さを活かしたヘディングシュートで決めて先制する。だが小山西は直後の15分、MF岩原涼太郎(3年)の左CKをニアで右SB岩重光洋(3年)がそらすと、これが相手DFのオウンゴールを誘って同点に追いつく。

 矢板中央はすぐさま個々の力強さ、スピードを活かした攻撃で2点目のゴールを狙う。37分には飯島のスルーパスから望月が決定機を迎え、39分にはショートカウンターから松井がフィニッシュまで持ち込んだが、小山西GK渡邊英一(3年)に阻まれるなど勝ち越すことができない。

 対する小山西は高さのある矢板中央との空中戦や球際の攻防戦を避け、グラウンダーのボールを繋いで勝負。矢板中央のMF稲見哲行主将(3年)や松井の力強いディフェンスに幾度か潰されながらも、継続して攻め続け、右SH小野隼哉(3年)の縦突破などからゴール前のシーンも作り出す。

 26分にはSB吉野航矢(1年)が左サイドからグラウンダーで斜めのパス。絶妙なファーストタッチをしたMF飯島速斗(2年)がDFと入れ替わって一気に抜け出す。シュートを決めきることはできなかったものの、1-1で前半を終えた。

 矢板中央は後半7分、交代出場でアグレッシブなプレーを繰り返していたFW山下育海(3年)がPKを獲得。これを稲見が右足で狙ったが、シュートはゴール左へ外れてしまう。それでも時間が経つにつれて小山西が足を攣らせる選手を増やしていた一方、矢板中央の足は止まらない。そして、高橋監督が「いろいろなタイプがいるし、ウチの選手層の厚さが出た」と評したように、山下、MF板橋幸大(2年)、FW大塚尋斗(2年)と投入された交代選手が次々と存在感を放つ矢板中央が粘る小山西を突き放す。

 後半24分、矢板中央は大塚のシュートのこぼれ球を拾った稲見が右足シュートをゴール左隅にねじ込んで勝ち越し。小山西は直後に右サイドを抜け出したFW長江恒樹(2年)の折り返しをFW大塚裕太(2年)が右足で合わせたがGKに阻まれてしまう。

 逆に矢板中央は33分、飯島が左足のコントロールシュートを決めて3点目。この後、36分に飯島の右CKから大塚が決めると、アディショナルタイムにも山下のアシストから大塚が決めて押し切った。

 栃木県内随一の選手層の厚さを持つ矢板中央だが、今年はインターハイ予選準決勝をPK戦で落とすなど、無冠。だが、その悔しさを力に、「一番練習の厳しい場所にしよう」(松井)とどこにも負けない練習を心がけて行ってきた。

 その意欲は結果にも結びついている。夏の金沢ユースフェスティバルではインターハイ準優勝の日大藤沢高や同8強の関東一高に勝利するなどインターハイに出場した5チームに勝利して優勝。指揮官も「いいきっかけになった」と振り返る優勝でチームは自信をつけた。

 充実したトレーニングと対外試合で出してきた結果。選手たちの気持ちは今、とても乗っているようだ。松井は「悔しい思いしかしていない1年だったので、絶対に勝とうと。練習でも練習試合でも今までと気迫が全然違うなと感じていたので、今回も決勝来て“当たり前”という感じですね」と説明した。決勝では守備の柱・白井陽貴(2年)を累積警告による出場停止で欠く不安があるものの、自分たちはそれを乗り越え、必ず栃木を制して全国で戦わなければならない。1年前はライバル・佐野日大が全国で躍進。だが、今年は悔しさを胸に力を磨いてきた矢板中央が必ず全国で輝く。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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