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[MOM2287]四日市中央工FW山本龍平(2年)_決勝戦で爆発の予感…鋭い突破と正確なキックでMVP級の活躍

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正確なキックで2ゴールを演出したFW山本龍平(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 選手権三重県予選準決勝 海星高 2-2(PK3-5)四日市中央工高 四日市中央緑地公園陸上]

 今年の四日市中央工高の武器は、上級生と下級生が織りなす攻守のハーモニー。GK大西将亜(3年)を中心とした3年生が冷静さと粘り強さを発揮し、守りを支えつつ、攻撃は下級生が思い切りの良い仕掛けで相手ゴールに襲い掛かる。

 個性派が集う攻撃陣の中でも、ひと際目を惹くのはFW山本龍平(2年)とFW森夢真(1年)の2トップ。その能力の高さは樋口士郎監督が「練習の時のパフォーマンスは浅野(拓磨、現・シュツットガルト)と田村(翔太、現・福島)の2トップに近い物がある」と評するほど。中でも、この日MVP級の活躍を見せたのは山本だ。

「向かい風の中で先制されて、しんどい状況だった」(山本)と守備で苦戦を強いられた前半は、攻撃でも良い形で前線にボールが渡らず、見せ場は数えるほどだった。前半29分にDF三石晋一郎(3年)からパスを受け、放ったシュートも勢いなく、GKの正面に終わった。個人としても、チームとしても決して納得の行くパフォーマンスとは言えなかったが、「チームの雰囲気は決して悪くなかった」と前を向き続けると、後半2分に山本が上げた右CKから、MF渡邊潤之介(3年)の同点ゴールが生まれた。

 この1点で流れを掴んだ山本は、持ち味であるスピードを活かした突破で相手DFを翻弄。「調子が良い時はもっとできるので、今日のプレーでは満足できない。でも、自分の特徴を少しは出せたと思う」と振り返るが、右サイドから左サイドまでドリブルで流れて、クロスを狙うなど縦横無尽な動きで海星の守備に混乱をもたらした。

 再び見せ場が訪れたのは、2度目のリードを与えた直後の後半38分。1点目と同じく、右CKのキッカーを務めると、ゴール前でこぼれたボールを森が押し込み同点に追いつく。その後は延長戦で決着がつかず、PK戦までもつれたが、1番手のキッカーとしてきっちり大役を果たし、勝利に貢献した。

 左右両足から繰り出す正確なキックで、勝利に貢献した山本は、ルーキーイヤーの昨年は左サイドハーフや左サイドバックでプレー。昨年の選手権予選にも出場したが、「カスみたいなプレーしかできなかった」と良さを発揮できず、準決勝で敗れたチームを救うことができなかった。すぐさま新シーズンに向けてのスタートを切りたいところだったが、入学当初から痛みを感じていた右足の甲が悪化し、昨年12月に手術を実施。半年以上に渡って、戦線離脱を余儀なくされた。

 その間、チームは新人戦、インターハイ予選のタイトルを逃がすことになったが、「悔しさもあったけど、自分が出ればもっとやれるだろうという思いの方が強かった」。今夏に本格復帰を果たすと、樋口監督に適性を買われ、中学時代にプレーしたFWに再コンバートされた。

 同じくドリブルが特徴である森とのコンビは選手権予選が始まってからと日は浅いが、相性はバッチリで、「2トップは全国に出たら結構、やってくれると思っている」と樋口監督の期待も高い。決勝でも鋭い突破と正確なキックで勝利を引き寄せる可能性は十分だ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2017

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