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「レギュラーは11プラス5人」“連戦仕様”の矢板中央が三重に競り勝ち初戦突破

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競り勝った矢板中央が初戦を突破

[1.2 全国高校選手権2回戦 三重2-3矢板中央 NACK]

 第96回全国高校サッカー選手権の2回戦が2日に行われた。NACK5スタジアムの第1試合では矢板中央高(栃木)が三重高(三重)を3-2で下し、初戦を突破した。明日3日に行う3回戦では神村学園高(鹿児島)と対戦する。

 前半途中に2枚を交代。それも先制点を決めたFW久永寿稀也(3年)を前半27分で下げるという“奇策”。しかし矢板中央の高橋健二監督に言わせれば、すべて「プラン通り」、交代した久永には点が取れても取れなくても途中交代を伝えていたという。

「彼らは役割を理解している。駅伝じゃないけど、たすきを繋いでいく。レギュラーは11プラス5人、16人がレギュラーだということを言っている。最大限、いろんな選手を使いながらサッカーをすることを意識しています」

 あっという間にスコアが動いた。矢板中央は前半2分、右サイドでボールを持ったDF内田航太郎(2年)がクロスを上げると、FW久永寿稀也(3年)が懸命に体を伸ばして、バックヘッド気味に当てて流し込み、先制に成功した。

 ただ主導権を握ったのは矢板中央だったが、三重がファーストチャンスを生かして試合を振り出しに戻す。前半25分、エリア内右でボールを受けたMF中上黎士(3年)が粘って左足で押し込む。これはGK山梨卯月(3年)に止められたが、こぼれ球に詰めたDF中島賢悟(3年)が押し込み、同点に追いついた。

 しかし三重の喜びもつかの間、すぐに矢板中央が突き放す。前半28分にFKを獲得すると、中島がエリア内に蹴り入れたボールが、相手のクリアミスを誘発。エリア内でこぼれると、MF稲見哲行(3年)が左足ボレーで合わせる。「気持ちで押し込んだ」というキャプテンのゴールで、再びリードを奪うことに成功した。

 前半27分に久永に代えてMF山下育海(3年)、同36分にMF山下純平(2年)に代えてMF飯島翼(2年)を投入していた矢板中央は、ハーフタイム明けで早くも3人目の交代。FW望月謙(3年)を下げてFW大塚尋斗(2年)を投入。三重もハーフタイムにMF川北敦史(3年)に代えてFW平嶋諒馬(3年)をピッチに送り込んだ。

 その後半、ゴール前でチャンスを作り続けたのは矢板中央だったが、三重のGK紙島晨(3年)の再三にわたる好セーブに遭い、ゴールネットを揺らすことが出来ない。だが後半25分、右CKをMF松井蓮之(3年)が折り返したボールをDF白井陽貴(2年)が頭でねじ込み、リードを2点に広げた。

 矢板中央のセーフティリードか。ただ三重も意地を見せる。後半32分、左サイドから崩しにかかると、川北、DF福岡秀峰(3年)とつないだボールが、ゴール前左のMF南出紫音(3年)に渡る。南出はボールコントロールから左足でニアを抜いて、1点差に詰め寄るゴールを奪った。

 さらに三重は終了間際に立て続けにFKを獲得。しかし後半35分のゴール左で得たFKを直接狙った川北のシュートは枠左。アディショナルタイムにはFW本間裕人(3年)が頭で合わせる絶好機を迎えたが、シュートは枠に入らなかった。

 試合は矢板中央が3-2で逃げ切った。プリンスリーグ参入戦を戦った影響で、選手権への準備期間が少なかったため、初戦の入りがより難しくなってしまったことを嘆いた高橋監督だったが、「選手たちは特長を出し切れた。反省点はありますけど、良かったなと思います」と、3回戦に進んだという結果をまずは評価する。

 冒頭でも述べたように、例年よりも過密日程となっている今大会を考えれば、交代枠を積極的に使っての勝利は、評価できる点が多い。3回戦の相手は、プリンスリーグ参入戦で対戦した昌平高を破って勝ち上がってきた神村学園が相手。昌平との対戦であれば、1週間前に対戦したばかりとあって、スカウティングはばっちりだったと苦笑いを浮かべた高橋監督だが、「神村は秋田商業との試合を見たら、ものすごいプレーをする選手がいた。初めて対戦するので楽しみ。失うものないんで、一生懸命やりたい」と気合を入れ直していた。

 対する三重高の伊室英輝監督は「三重県では体験できない高さだった。練習もしたが、体感するところで難しかった」と矢板中央の強さに素直に脱帽。ただ夏の高校総体で三重は前橋育英に初戦で0-7で大敗。相手は違えど、全国大会で2-3の接戦を演じ、違いを見せた。「自分たちのサッカーをやれたという部分では子供たちをほめたい」と伊室監督。「最後まで諦めないような戦い、スキルの部分も含めて、もう一度見せてやるんだというところでは、出来たと思います」と善戦したイレブンを称えていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 児玉幸洋)

●【特設】高校選手権2017

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