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「俺たちの代で“初優勝”を」…前回王者の攻撃の核、前橋育英MF秋山&FW榎本が挑む最後の選手権

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前橋育英高MF秋山裕紀(左)とFW榎本樹

 世間的には2連覇を狙うチームである。当然、本人たちにもその意識はある。しかし、前橋育英高MF秋山裕紀(3年)とFW榎本樹(3年)が強調したのは「自分たちの代で初優勝」「自分たちの代で日本一」ということだった。

 昨年度の高校選手権。2年連続で決勝まで進出した前橋育英は流経大柏と対戦した。試合は0-0のまま後半アディショナルタイムを迎えたが、土壇場の90+2分にスコアが動く。ゴールを奪ったのが当時2年生だった榎本だった。あれから1年が経ったが、あの日のこと、あのゴールを忘れることはない。ゴールを奪った瞬間は「周りが揺れている感じ。体の中で響いている感じがした。あんな感覚は味わったことがない」と表現した。

 そして、1年前はメンバー入りを果たしながらも、決勝戦はベンチから見守った秋山も榎本のゴールを昨日のことのように思い出す。「あの時間帯に決めてくれたのでベンチもすごい盛り上がったし、素直に嬉しかった。同じ代の選手のゴールだったのでいい刺激になった」。榎本のゴールが決勝点となり、流経大柏を1-0で下した前橋育英は悲願の選手権初優勝を果たした――。

 2連覇を狙うチーム。「世間からは2連覇と言われ、選手だけでなく、(山田耕介)監督やコーチ陣にもプレシャーはあったと思う」(秋山)と目に見えないプレッシャーと戦うこともあり、「この1年間の難しさはあった」(榎本)ようだ。だが、群馬県予選をきっちりと勝ち上がったチームは再び選手権の舞台へと戻ってきた。

 最前線でターゲットマンとなる榎本とボランチの位置でゲームメイクする秋山。攻撃の核となる2人は、互いへの信頼を口にする。秋山が「樹がいるかいないかでチームの攻撃力の部分は特に変わる。チームのターゲットであり、得点源でもあるので結果を出してくれることに期待している」と語れば、榎本も「サッカーセンスはチーム一。自分が動いたところにパスを出してくれると信じている」と答えた。

 昨年度、優勝を決めるゴールを奪った榎本だけでなく、準々決勝と準決勝でピッチに立った秋山が日本一に貢献したのは間違いないが、最上級生がチームを引っ張ってくれたことも確か。だからこそ、「俺たちの代で優勝するために前橋育英に入った。自分たちの代で初優勝しようとやってきた」(榎本)、「ここからは2連覇というよりも、自分たちの代で日本一になれるように一丸となってやっていきたい」(秋山)と、自分たちが最上級生として先頭に立って再び高校選手権の頂に立つことを2人は望んでいる。

 前回王者の初戦は1月2日。最上級生となった“俺たちの代”の最終章の幕開けは刻一刻と迫ってきている。

(取材・文 折戸岳彦)

●【特設】高校選手権2018

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