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ホテルは同部屋、進学先も同じ…大爆発の立正大淞南エース、その陰には“相方”の存在

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2回戦ではエースを支えた立正大淞南高FW鶴野怜樹(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権2回戦 那覇西高1-6立正大淞南高 等々力]

 立正大淞南高は後半28分、PA内でFW鶴野怜樹(3年)が倒され、PKを獲得。1回戦ではFW藤井奨也(3年)が得たPKを藤井が決めており、今回は鶴野が蹴るかと思われたが、またも藤井が決めてハットトリックを達成した。試合後、鶴野は「宿舎でも同じ部屋」という“相方”を立てての決断だったと明かした。

 1回戦では揃って2得点を決めた藤井と鶴野は、昨季から立正大淞南の得点源を担っているダブルアタッカー。ほとんどの決定機はこの2人を経由しているといっても過言ではなく、「1年生の頃から2人の間でコンビネーションを築いてきて、めちゃくちゃ息ぴったり」(鶴野)と誇るほどの関係性だ。

 「いつも部屋に来ていた」(藤井)と語るように、ともに寮生活をしている2人は普段からも仲が良い様子。選手権大会のホテルでは、2人用の部屋で一緒に過ごしており、「その日の試合の反省や良かった点、こういう動きをしたほうが良いということを話し合っている」(藤井)のだという。

 同じ得点数を積み上げた1回戦から年が明け、迎えた2回戦は藤井の独壇場となった。前半17分、鶴野のシュートのこぼれ球を頭で押し込むと、後半26分には鶴野のパスから左足で流し込んで2点目。1トップの背番号19はエースの引き立て役となった。

 そして後半28分、気になる場面が訪れた。PA内でパスを受けた鶴野が相手DFに倒され、PKを獲得したのだ。「奨也がここまで2点を取っていて、自分も1回戦でハットトリックしようとして悔しかったし、もし自分がここで外すんだったら……」。そう考えた鶴野は藤井と目を合わせ、得点チャンスを譲っていた。

「自分も取りたいけど、奨也が波に乗ってハットトリックを取れるなら」という願いを受け継いだ藤井は、このボールを落ち着いて流し込み、無事にハットトリックを達成。目標とする得点王、二桁得点にまた一歩前進した。試合後、藤井は「2人の信頼関係はあるし、これからも2人で点を取りたい」と感謝の言葉を口にした。

 なお、そんな仲良しコンビは卒業後も同じ大学に進学する予定。鶴野は「2人で行くのはとても嬉しいし、大学でも2人で試合に出て活躍できるように頑張りたい」と意気込む。そのためにはまず、高校生活最後の試合で「日本一になる」という目標を達成し、大学の指導陣にアピールしたいところ。今夜も宿舎の作戦会議で準備を重ね、翌3日の矢板中央高戦で揃い踏みする構えだ。

(取材・文 竹内達也)

●【特設】高校選手権2018

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