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[MOM2782]星稜MF尾崎佳洋(3年)_練習と予測、165cmの小兵が決めた劇的ヘッド

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尾崎佳洋のヘディング弾が3回戦へ導いた(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 明秀日立0-1星稜 柏の葉]

 スコアレスのままPK方式に突入かと思われた後半アディショナルタイム3分、劇的な幕切れが訪れた。星稜高(石川)は、途中出場のMF川本虎太郎(1年)が右サイドから左足でクロスを入れる。ゴールに向かって弧を描くクロス、大柄な選手が並ぶ明秀日立ゴール前で唯一ボールに触れたのはMF尾崎佳洋(3年)だった。

「虎太郎のボールもよくて。相手のセンターバックが前にいたんですけど、背後に回り込んで合わせました」。右SBとCBの間のスペースに飛び込む。ジャストミートはしなかったが、「頭の左のほう」に当たったシュートはこの試合唯一のゴールとなった。

「身長を見ればわかると思うんですけど、正直ヘディングが得意じゃなくて……」と165cmのヒーローは苦笑いを浮かべる。「星稜はサイドアタックが武器で、クロスからのヘディングシュートの練習をするんですけど、(河崎護)監督からは『小さくても勢いを持って入れば勝てる』と言われていて、その通りに走り込んで合わせることができた」。練習の賜物が生んだゴールだった。

 先発の平均身長が176.5cmと大柄な選手が並ぶ星稜にあって、先発で唯一170cm以下だった尾崎だが、高いテクニックとスピーディな動きで左サイドの起点となっている。前半に星稜がPKを獲得したシーンでは、2列目左の尾崎がペナルティエリア内のFW西部悠大(3年)、FW岩岸宗志(3年)とつなぎ、岩岸が倒されて得たものだった。また、2列目右のMF有馬大勢(3年)とともにセットプレーのキッカーも務めており、攻撃において重要な役割を担っている。そして、明秀日立戦では「自分のところにチャンスがきそうだな」という予感があった。必然的に生まれた得点だったのかもしれない。

 星稜が1回戦で対戦した関西学院高(兵庫)は、関西学院中出身の尾崎にとって感慨深いものがあった。「自分が親しくしていた友達もいっぱいいて、その子たちの涙を見たり、メッセージももらったりして。星稜の人たちにももちろん感謝をしているんですけど、負けた人たちの分までという思いが特別強かった」。勝ち進むことへの決意を語った尾崎。星稜は続く3回戦では、昨年度準優勝の流通経済大柏高(千葉)と対戦する。

(取材・文 奥山典幸)

●【特設】高校選手権2018

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