[1.2 選手権2回戦 徳島市立高 1-2 流通経済大柏高 フクアリ]

　インターハイでは、初戦敗退ながらも高い評価を得て大会優秀選手に選出。徳島市立高の注目GK中川真(2年)がこの日、V候補・流通経済大柏高の前に立ちはだかった。押し込まれるのは想定内。11月に対戦が決まった際、「みんな『おい、流経やぞ!』と。自分は『攻めてくれるんで、ラッキーやな』と思いました」と“目立つチャンス”と考えた中川は、その通りに“目立つチャンス”で印象に残るプレーをしてみせた。

　前半は相手のクロスやロングスロー、CKに対応。183cmCB井上純一(3年)が怪我で先発から外れたことによってDF陣の高さを欠いた中、中川は持ち味でもある思い切りの良い飛び出しから判断の良いキャッチング、パンチングを続けていた。

「自分のストロングポイントがクロスの対応なので、そこは絶対にやらせたくないし、純さんが怪我して中が低い中でオレが全部出んとやられる。できるだけクロスに対応して出ようと思っていましたし、そこは心掛けていました」

　最終ラインの背後のスペースも広範囲にカバー。そして、後半立ち上がりにはビッグセーブを連発して会場を沸かせる。鹿島内定CB関川郁万(3年)に至近距離から放たれたヘディングシュートをワンハンドでかき出し、12分にも同じく至近距離からのシュートを身体全体でコースを切ってストップした。

　守護神の奮闘によって無失点を継続したチームは、後半16分にFW岡健太(3年)のゴールによって先制。勝利に近づいた。だが、中川は「後半は健太さんに『1点獲ったらオレが全部守るけん』と言っていたんですけれども、同点ゴールをやらせてしまって……」。20分、ゴール前の混戦から打たれたシュートがDFに当たる。わずかに浮いたボールを防ぐことができずに同点。さらにPKから勝ち越し点を許し、逆転負けを喫してしまった。

「キックが上手いし、目指している」という東福岡高GK松田亮(3年)が身近な目標。今大会で活躍し、プロからの評価を得て、昨年の松田のように高校選抜候補に入りたいという思いがあった。だが、結果を残せず、前半からキックが乱れるなど悔しい大会に。それでも、全国舞台でポテンシャルの高さを示し、印象的な活躍も見せた中川が19年の注目GKになることは間違いない。

　この1年、自主練などで筋力アップし、セービングも向上。進化を続ける守護神が1年後、目標とする姿は2年前に大会の主役となったGK廣末陸(青森山田高→FC東京)だ。チーム内でライバルたちと争いながら貪欲にレベルアップすること。そして「僕もあの(廣末)ようにプロ決めて、注目を浴びたい」という目標を実現させて選手権に戻ってくる。

(取材・文　吉田太郎)

---

●【特設】高校選手権2018