[1.3 選手権3回戦 立正大淞南高0-1矢板中央高 等々力]

　阿吽の呼吸が堅守を支えている。矢板中央高(栃木)は本大会直前にレギュラーの座をつかんだDF五十嵐磨於(3年)がDF白井陽貴主将(3年)とセンターバックを組み、立正大淞南高(島根)の強力攻撃陣に対抗。体を張ったディフェンスで完封勝利に貢献した。

　県大会決勝で白井とコンビを組んでいたDF長江皓亮(2年)が本大会直前の練習試合で負傷したこともあり、五十嵐がチャンスをつかんだ。県大会は2回戦に先発したが、準々決勝は途中出場で、準決勝と決勝は出番がなかった。それでも「常に準備はできていたし、あいつの分もという気持ちでやっている」と、全国選手権では2回戦の日章学園戦(○2-1)に続いてフル出場を果たした。

　コンビを組む白井とは普段から仲が良いそうで、遠征先の宿舎などでもいつも2人部屋で一緒に過ごしているという。「息が合うし、あいつのやることは分かる」という五十嵐を白井も「責任感が強いし、あいつも声を出してくれた」と信頼する。センターバックコンビとして立正大淞南の攻撃をシャットアウトしただけでなく、この日は唯一の得点も2人の“連係”がもたらした。

　前半2分、FKからこぼれ球を拾ったFW望月謙(3年)がマイナスに戻し、五十嵐がシュート。これをゴール前の白井が右足ヒールでコースを変え、ゴール左に流し込んだ。「(シュートの)感触は悪かった」。思わず苦笑いした五十嵐は「ミスキックだったけど、白井がいいところにいてくれた」と、“相棒”に感謝した。

　今大会は2試合でオウンゴールによる1失点のみ。粘り強い戦いで2大会連続の8強入りを果たした。それでも「勝ったけど、内容は良くないし、浮かれている場合じゃない」と気を引き締める五十嵐は「まだ何も成し遂げていない。切り替えて、明日しっかり調整して次の試合に臨みたい」と、中1日で迎える5日の準々決勝・青森山田戦を見据えた。

(取材・文　西山紘平)

---

●【特設】高校選手権2018