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矢板中央が3連覇王手!! 勝負強く、怒涛2発の逆転劇「悔しさが原動力になった」:栃木

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矢板中央高が5分間2発の逆転劇で決勝進出

[11.4 高校選手権栃木県予選準決勝 矢板中央2-1宇都宮短大附 栃木グ]

 第98回全国高校サッカー選手権栃木県予選は4日、栃木グリーンスタジアムで準決勝を行い、第1試合は矢板中央高宇都宮短大附高に2-1で勝利した。矢板中央は終盤2発で逆転に成功し、3連覇に王手。9日の決勝では佐野日大高と対戦する。

「この一年間は去年の代と常に比べられて、プリンスでも負けて、批判もされてきた。だけど悔しさが逆に、自分たちの原動力になって、ここまで成長できたんだと思います」(久永武蔵)

 昨年度のチームはプリンスリーグ関東王者に君臨し、選手権全国8強入り。今年度も新人戦、インハイで連覇を達成し、県内における立ち位置は揺らがないが、プリンスリーグでは最下位に甘んじている。決勝ゴールを挙げた3年生のエース久永が「勝負弱い代と言われてきたので、勝負強さを少しは出せたかな」と振り返る逆転劇だった。

 序盤からDF坂本龍汰(2年)によるロングスロー、ロングボール戦術を徹底する矢板中央に対して、宇都宮短大附はセカンドボールの回収で優位に立ち、足元でつないでビルドアップ。右SB高久朝陽(3年)のパスからMF関本真尋(3年)が立て続けにドリブルで右サイドを突破し、チャンスを広げた。

 最初に決定機を迎えたのは矢板中央。前半16分、相手のミスを突き、高い位置でボールを奪取したFW多田圭佑(2年)がPA内右からクロスを配給すると、フリーで反応したのはFW西村碧海(3年)。決定的なヘディングシュートが枠を捉えたが、好反応を見せたGK宮田航成(2年)が横っ飛びで弾き出した。

 絶好の先制機を逸した矢板中央は直後の17分、最初の交代枠を使い、西村に代えて10番久永がピッチに送り込まれる。前半の“エース投入”は高橋健二監督のプラン通り。最終ラインから対角線へのクロスボールも使い、前線で起点となる久永の働きにより、攻撃は厚みを増した。

 宇都宮短大附も連動したディフェンスで耐え凌ぐと、チャンスを仕留めた。33分、キッカーの関本が右足でふわりとした左CKを蹴り上げると、ボールはGK藤井陽登(1年)を越えてファーサイドに流れ、ゴールラインを割った。「合わせてくれればと蹴りましたが、たまたま入った」(関本)という直接CK弾。王者から先制ゴールをもぎ取った。

 後半も同じ戦法を浴びた宇都宮短大附だったが、次々に放り込まれるクロスボールに対して、2年生GK宮田がミスなく、安定したキャッチングで食い下がる。1点が遠い矢板中央は連続セットプレーからもゴールに迫り、完全に主導権を握った。高橋監督は続々と交代カードを切ると、途中出場のMF服部晃多(3年)がドリブルで切り裂き、攻撃にアクセントをつけた。

 後半24分にMF星景虎(1年)を投入して交代枠を使い切った矢板中央は、ラスト10分で怒涛の逆転劇を演出した。後半29分、DF島崎勝也(1年)のロングスローの流れから、密集からこぼれたボールに星がフリーで反応。迷わず右足を振り抜き、強烈なショットでニア上をぶち抜いた。後半34分にもロングスローの流れからDF矢野息吹が右足シュート。これは惜しくもGK宮田のビッグセーブに阻まれたが、こぼれ球に飛び込んだ久永がヘッドで叩き込んだ。

 土壇場で試合をひっくり返した矢板中央。ラスト5分に主将DF長江皓亮(3年)が「もう一回守備からいこう」と“声”でチームを引き締め、そのまま2-1で逃げ切った。試合後、選手たちを集めた高橋監督は「決勝で負けるのが一番辛いからな。勝ったら最高だよ」と経験を伝えた。夏冬連覇、そして3年連続の選手権出場まであと一つ。指揮官は9日の決勝戦を見据え、「決勝戦をゼロで抑えられれば。守備を立て直してきます」と力強く言った。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

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