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FW松谷ハット!球際・切り替え・運動量の強み発揮した市立船橋が4-0で千葉決勝進出!

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後半35分、市立船橋高はFW松谷昂輝(9番)がこの日3点目となるゴール

[11.27 選手権千葉県予選準決勝 専修大松戸高 0-4 市立船橋高 柏の葉]

 市船が快勝で全国王手! 第98回全国高校サッカー選手権千葉県予選準決勝が27日に行われ、3年ぶり22回目の選手権出場を狙う名門・市立船橋高と27年ぶりに県4強入りした専修大松戸高が激突。市立船橋が、FW松谷昂輝(3年)の3得点とMF森英希(3年)のゴールによって4-0で快勝した。市立船橋は11月30日の決勝で流通経済大柏高と対戦する。

 市立船橋はU-17日本代表の右SB畑大雅(3年、湘南内定)がU-17ワールドカップに出場していたため、選手権予選はこの準決勝が初戦。2勝で全国切符を獲得できる一方、24日に行われたプレミアリーグEASTの鹿島ユース戦からこの日の選手権予選準決勝、そして3日後の選手権予選決勝と厳しい日程を突破しなければならない。

 それでも、「この間のプレミアのアントラーズ戦を(選手権)準々決勝、今日の試合を準決勝と捉えて臨む」(波多秀吾監督)という市立船橋は、“準々決勝”で鹿島ユースを2-1で下してプレミアリーグEAST残留を決めると(11月27日時点で暫定3位)、この日も自分たちがやるべきことを表現して快勝を収めた。

 プレミアリーグEASTの柏U-18戦(9月)を1-4で落とした直後のミーティングから「チームのために、勝利のためにやる」(MF町田雄亮主将。3年)ことを強く求め合い、翌節から4連勝中。そして、この日も内容のある勝利だ。特に切り替えの速さや守備強度の部分でチームに貢献した町田は「(市立船橋の特長である)球際・切り替え・運動量のところで上回ることができたので良かったです」と胸を張った。
 
 専大松戸は10番FW吉川秀斗(3年)を中心にドリブルとショートパスに特長を持つチームだ。日常からミニゲームを重ねて創造性とテクニックを磨いてきた専大松戸は、準々決勝でインターハイ予選王者の日体大柏高を撃破。この日も自分たちの武器で勝負を挑み、局面を打開するシーンもあった。

 だが、市立船橋の壁は高かった。特にFW松谷はハットトリックの大暴れ。前半9分、畑がDF背後に入れた縦パスに反応すると、右サイドの角度の無いような位置から右足シュートをニア上に叩き込んで先制点を奪う。

 市立船橋はさらに36分、右サイドからボールを持ち上がったU-18日本代表MF鈴木唯人(3年、清水内定)がキープすると、十分にためてからPAへパス。鈴木を内側から追い越してPAへ走り込んだ畑がクロスを上げると、これを松谷が見事に頭で合わせて2-0とした。

 専大松戸は吉川やMF武富弘樹(2年)がドリブルで切れ込んでいたほか、落ち着いて相手を見ながらボールを繋いで反撃。後半立ち上がりに左サイドをパスワークで切り崩したほか、アイディアのあるセットプレーも交えてゴールを奪い返そうとした。

 だが、市立船橋は畑不在の期間に穴を埋めるなど、「ここ最近凄く伸びてきた選手です。穴をしっかりと埋めて。今なかなか外すことができないという状況になってきている」(波多監督)というCB中村颯(3年)や守備の柱・CB石田侑資(2年)が、決定的なシュートを打たせない。

 そして25分、市立船橋は町田からのパスを受けた森がDFとの距離を上手く保ったまま右足シュート。これを右隅に決めて突き放すと、35分にも右CKから左SB植松建斗(3年)の放ち、最後はこぼれ球を松谷が押し込んでハットトリックを達成した。

 市立船橋は4-0で決勝進出。チームが緩みかけた時には、柏U-18戦を教訓に、「また元に戻るのか」と思い返しながら積み上げてきた。現在は、各選手がやるべきことを統一し、目の前の練習、試合に集中して戦うことができるようになっている。まだミスや、出足で圧倒できていない部分など課題があることも確か。それでも、町田は「勝ちにこだわる集団になってきたと思います」と手応えを口にする。伝統の堅守に加え、破壊力のある畑と植松の両翼や鈴木、松谷のように試合を決める存在がいることも大きい。

 今年、コーチから名門の指揮官に昇格した波多監督は「僕自身が大きく変わったということはないと思うんですけれども、とにかく周りのスタッフ選手を信じて、チーム一体となって勝ちを取りに行こうとしています。そこは歴代の監督さんよりも唯一勝っていると思っていまして、チーム・スタッフ・応援してくださる方々を信じるということを意識しているところであります」と語る。

 現在の部員は入学以来、選手権全国大会を経験していない。それだけに、町田は「絶対に選手権に出るという思いはチーム全体で強いと思います」。決勝の対戦相手は過去2年間敗れている宿敵・流経大柏。「負けたらいけないチーム」市立船橋は名門のプライドを懸けて戦い、必ず壁を乗り越える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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