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守備のキーマンMF高木「いかに使わせずに外に追い出すか」。“14ゾーン”消した富山一が1-0勝利

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守備面での奮闘光る富山一高MF高木俊希

[1.2 選手権2回戦 富山一高 1-0 神村学園高 浦和駒場]

 3バックと3ボランチで“14ゾーン”を消した。富山一高(富山)は2回戦でポゼッションを得意とする神村学園高(鹿児島)と対戦。前半16分にMF高木俊希(3年)の左CKからDF丸山以祐(3年)が頭で決めた1点を守り切った。

 富山一は3バックと2人のWBが最終ラインを固め、その前方で3ボランチが中央のスペースを消していた。失点後から神村学園はボールを握る時間を増やしていたが、富山一は12月中旬のプレミアリーグプレーオフで東海王者のJFAアカデミー福島U-18や横浜FCユースというボールを繋ぐチームと対戦済み。「(プレミアリーグプレーオフで)上手いチームと対戦してどうやって守備をやっていくか頭に入っていた」(大塚一朗監督)というチームは、慌てることなく守り抜いた。

 大塚監督は「スペインとイタリアが対戦して、イタリアが勝つようなイメージ。自分たちが三角形になって、その外でボールを回させるのはいいと。“14ゾーン”のところに入ってきたやつをしっかりと奪って、それをカウンターに繋げられば」という。

“14ゾーン”とはピッチを18分割した際の自陣中央のゾーンを指す。大塚監督によると、サッカーの得点の9割はそのゾーンを通過。「そこを通過させなければ失点しない」という狙いから富山一はそのゾーンに3バックと3ボランチを配置し、そのスペースを最小限にしている。

 神村学園は攻撃時にアンカーのMF軸丸広大主将(3年)と右SB中島吏九(3年)、左SB下川床勇斗(2年)が並ぶ形で攻撃を組み立てていたが、軸丸は「崩しきれなかったので、相手の方が上だった」。“14ゾーン”への縦パスを富山一MF高木俊希(3年)に狙われるなど、ボールを失い、カウンターを受ける回数が増えてしまっていた。

 富山一にとって戦術上のキーマンは3ボランチの中央に位置する高木だ。アグレッシブに前に出てボールを刈り取ることが特長。この日はインターセプトしていた一方で出た背後のスペースを活用される時間帯もあった。だが、アウトオブプレーになった際などにDFの選手たちと出るタイミングを確認しながら修正。「相手は中盤の人数が多いので、中から攻めたいという意図は分かっていたので、そこで中を閉めて外へ追い出すというのは作戦通りだった」。相手を外へ追い出し、高木はそこにもプレッシャーに行ってクロスの精度を下げていた。また、そして中央で粘り強く弾き返すなど、狙い通りの守り。高木はボールを支配されても慌てず、集中して守り切ったことを喜んだ。

 ゲーム主将を務める10番は、“14ゾーン”を埋めるのは自分の役割だと考えている。「“14ゾーン”をいかに使わせずに外に追い出すかが鍵だと思います。そこのポジションを埋めないのは自分だし、“14ゾーン”を警戒しないといけない」。3回戦の対戦相手は、6ゴールで初戦突破した青森山田高(青森)。サイド攻撃やセットプレーでも強みを持つ前回王者からも狙いを持ってボールを奪い、カウンターやセットプレーで仕留める。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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