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[MOM3250]海星GK臼井玖琉(3年)_名門・四中工をPKストップ、練習で掴んだ自信と“コツ”

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GK臼井玖琉(3年)が海星の勝利に大きく貢献

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.31 選手権三重県予選準々決勝 海星高 1-1(PK5-3)四日市中央工高 伊勢フットボールヴィレッジD]

 今大会の出場は、いずれも後半の給水が終わった残り20分前後から。試合の最後を締めるクローザー役として重宝されてきた海星高のGK臼井玖琉(3年)が、難敵・四日市中央工高との大一番で大仕事を果たした。

 大勝が続いていたこれまでの試合とは違い、この日は同点のまま試合が進んでいたため、なかなか出番が訪れない。ピッチに立ったのはPKが目前に迫った延長後半7分だ。スタメンで出ていたのはGK栗村真尋(2年)だが、自主練で行うPK練習は臼井の方が良く止めていた。青柳隆監督は当初交代を考えていなかったが、延長後半に入る直前で選手たちから「PKになったらGKを変えてもらえませんか?」と直談判され、「相手に”アイツはPKを止めるんじゃないか”とプレッシャーをかけられるかもしれない」と判断したという。

 試合終盤での出場には慣れていた臼井だが、「PKの緊張はまったく違った」。一方で、「延長戦の後半に入ってすぐに交代を告げられていたので心の準備ができていた。PK戦は自分に自信を持って挑もうと思えた」とも振り返る。試合でのPK経験はほとんどないが、自主練での経験によって掴んだコツはある。「これまではどっちに飛ぼうか迷って中途半端になっていたけど、練習をやっていくうちに飛ぶ方向を絶対一個に絞ろうと決めた。相手の様子を見て判断するのではなく、自分が決めたコースに飛ぼうって考えるようになった」。

 先攻である海星の1人目がキックを成功させたのを見てから、ゴールマウスに立った臼井は自分を信じて左に飛ぶと読みが当たった。「最初は左に飛ぼうと決めていた。それが偶々当たっただけ」と振り返る。「左で止めたので、同じコースは蹴りづらいかなと思って反対に飛んだ」2本目は防ぎきれなかったが、コースは的中。4本目もキックを決められたが、予測が的中し、ボールに触ることはできた。セービングこそ1本に終わったが、驚異的な的中率を見せた臼井は「プレッシャーはかなりあったけど、同級生のPK練習に付き合っていたので少し自信はあった。止められたのは、皆の自主練のおかげ」と口にした。

 中学時代は公立中学でプレー。大学進学と全国大会への出場を目指し、海星の門を叩いたが、周りはクラブチームでプレーしてきた実力者ばかりで一年目は戸惑いもあった。それでも何とか必死に食らいつき、昨年は3番手のGKとしてAチーム入り。最終学年を迎えた今年は栗村に次ぐ立場だが、「悔しさはあるけど、みんなが頑張ってくれたから自分の出番がある。そこで自分も力を出し切って、皆の為になりたい」と前を向く。「これまでずっとあと少しの所で負けてきたので、今年は絶対に全国大会に出場したい」と意気込む男は残りの試合でも与えられた出番で全力を尽くす。

(取材・文 森田将義)
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