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前橋商が16年ぶり全国まであと1勝!! 桐生一とのPK戦で控えGK水村が“3連続ストップ”

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PK戦を制した前橋商高

[11.1 選手権群馬県予選準決勝 桐生一高1-1(PK3-4)前橋商高 敷島公園サッカー・ラグビー場]

 第99回全国高校サッカー選手権群馬県予選は1日、準決勝を行い、第2試合では前橋商高桐生一高が激突した。スコアレスのまま迎えた延長戦に1点ずつを取り合った熱戦は、PK戦の末に前橋商が勝利。控えGKが3本連続ストップの大活躍を見せ、2004年度以来16年ぶりの全国出場に王手をかけた。

 過去11回の全国選手権出場を誇る名門・前橋商と、県6連覇中だった前橋育英高を3回戦で破った桐生一の強豪対決。序盤はピッチを広く使った3-5-2の布陣でボールを握る桐生一がMF落合遥斗(3年)、MF松尾琉雅(3年)の積極的なシュートで相手に圧力をかけた。それでも前橋商の守備陣も4-4-2のコンパクトな守備ブロックを保って焦らず対応。右サイドに張るFW坂本治樹(3年)へのロングフィードでカウンターへの意欲も見せ、拮抗したまま前半を終えた。

 すると両チームはハーフタイムに早くも選手交代を敢行。前橋商がMF永井陸空斗(1年)に代えてMF今泉諒陽(2年)を入れたのに対し、桐生一はDF箱田侑汰(3年)とMF小林凌大(2年)を下げてFW吉田遥汰(2年)とDF中谷優太(2年)を起用し、キャプテンの落合を右インサイドハーフから左サイドハーフに移して4-4-2にするシステム変更も行った。その後も桐生一が主導権を握ったが、MF浅田陽太(2年)や吉田のシュートはGK長谷川翔(3年)の好セーブに遭うなどし、ゴールを割ることはできなかった。

 距離感の良いプレッシングで相手の攻撃を断ち切りつつ、ゴール前に侵入されても身体を張り続けた前橋商は後半終了間際にビッグチャンス。右サイドを突破した坂本のクロスに対し、ニアサイドに飛び込んだFW仲宗根純(3年)がフリーの状態でヘディングシュートを放った。ところが、力強く叩きつけたボールは高くバウンドして枠外へ。前橋商は千載一遇のチャンスを逃し、スコアレスのまま延長戦に突入した。

 そうして迎えた延長前半5分、先にスコアを動かしたのは桐生一だった。中央に絞ってきた落合がゴール前でパスを受け、相手ディフェンダーと駆け引きしながらスルーパスを送ると、これにFW入澤祥真(3年)が反応。3回戦の前橋育英戦でも決勝点を挙げていた背番号9が細かいタッチから右足を振り抜き、ニアポスト脇に突き刺した。

 その後も桐生一がセットプレーも使いながら一方的に攻め続け、なかなか反撃に出られない前橋商。ところが延長戦のハーフタイム、前橋商はDF高橋大地(2年)とMF清水葵生(2年)を入れて3トップに布陣を変えると、見違えるように前に出られるようになる。すると延長後半4分、MF石倉潤征(3年)のスルーパスを起点に、清水の折り返しをMF大熊葉薫(2年)が押し込んだシーンは惜しくもオフサイドとなったが、直後に試合を振り出しに戻した。

 延長後半6分、自陣からのロングボールを投入されたばかりのMF三ツ木貴大がフリックし、仲宗根との素早いワンツーでペナルティエリア内に侵入すると、ゴール前にグラウンダーのパスを供給。相手を背負いながら受けた仲宗根が右足で持ち出し、相手DFの股を抜くシュートをファーポスト脇に流し込んだ。劣勢だった前橋商にとっては起死回生の同点弾。そのまま規定の100分間を終え、PK戦に持ち込んだ。

 前橋商はPK戦の直前、正GKの長谷川に代えてGK水村悠夢(3年)を投入。2回戦の健大高崎高戦(○2-2、PK3-2)でも3本をストップしていたPK専用GKが再びピッチに立った。すると水村はこの日も2人目から4人目までのキックを3人連続でストップ。味方キッカーも3人が失敗したため勝負はサドンデスまでもつれ込んだが、先攻・桐生一の7人目キッカーが枠外に蹴ると、最後はDF庄田陽向(2年)が落ち着いて決め、熱戦に終止符を打った。

 試合後、殊勲のPKストップを見せた水村は「PKは選手権シーズンが始まる前の練習試合からやってきたし、練習でもずっとやってきた。自信しかなかったので堂々と入ることができた」と充実した表情。3人目のキッカーとしてPKを決めた仲宗根も「水村くんが絶対に止めるので、安心して蹴ることができた」と信頼を語った。

 決勝の相手は初の全国出場を狙う共愛学園高。初の決勝進出で勢いに乗る相手に対して「やってみないと分からない。5分、10分経って本人たちがどういう心理状態になるか。もちろんガッと戦わせるつもりで入ろうと思っている」と難しさも語った笠原恵太監督は「次があるのでまた締め直します」と意気込みを述べた。

(取材・文 竹内達也)
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