beacon

近畿地区選手権代表6校の監督や部長が共同記者発表会に出席。意気込みや注目選手についてコメント

このエントリーをはてなブックマークに追加

後列左から近江高・前田高孝監督、初芝橋本高・阪中義博監督、山辺高・浅見卓部長。前列左から京都橘高・米澤一成監督、履正社高・平野直樹監督、神戸弘陵高・谷純一監督

 12月4日、第99回全国高校サッカー選手権大会の近畿地区代表校共同記者発表会が、大阪府の読売テレビで開催された。近畿地区の代表校の監督や部長が意気込みなどを語った。以下、主な質疑応答

―選手権予選の振り返りと、今年のチームについて。
近江高(滋賀)・前田高孝監督
「近江高サッカー部は、2016年度に強化指定クラブとなりました。5年目の今年に、初めて選手権という大舞台に行くことができました。様々な人の想いのおかげで、名もないチームが全国の舞台に立たせてもらえるので、一戦一戦頑張って戦いたいと思います。予選は、準決勝の水口高戦からタフなゲームが続きました。上手く行かないことが多かったのですが、選手たちがよく頑張ってファイトしてくれた結果、優勝できました。注目選手では、4番のDF前山拓海(3年)がDFリーダーとしてチームを引っ張ってくれています。攻撃では、10番のMF森雄大(3年)、11番のMF山中亮弥(3年)といった選手が技術を活かして、一生懸命サッカーをやってくれています。全国大会は滋賀県代表として、何とか初戦を突破し、一つひとつ丁寧に頑張っていきたいです。近江高は歴史があるチームではありません。ただ、何もない頃から来てくれた1期生や2期生が成し遂げられなかった舞台を、3期生が戦うからには、先輩たちの想いを背負って、1戦1戦戦っていきたいと思います」

京都橘高(京都)・米澤一成監督
「今年もなんとか勝たせてもらえました。2年連続9回目の出場です。今年のチームは橘にしたら、大柄な選手が比較的に揃っているので、空中戦もできるかなと思っています。予選決勝も、ロングスローとCKで身体能力を活かせたのが勝敗を分けました。全国でも通用するんじゃないかと思っています。また、京都橘では初めて3バックにチャレンジしました。毎年、3バックでスタートし、4バックに移行していくのですが、時間がなかったので、スタートのまま選手権を迎えたというのが正確かもしれません。後は、先ほど発表されましたが、2年生のFW木原励がU-17日本代表候補の合宿に呼ばれました。2トップにはFW西野太陽(3年)がいますが、木原も合宿で自信をつけて帰ってきて欲しいです。残りのわずかな試合で、ポジションのバランスを見つけて、31日に照準を合わせたいです。京都府代表は5年連続で1回戦を突破できていません。うちが、そのうち4回なんですけど…(笑)。なので、今年こそは、まず1回戦突破を目標に頑張りたいです」

履正社高(大阪)・平野直樹監督
「6年ぶりの出場なため、緊張でマイクを持つ手が若干震えています。コロナで予選がどうなるか分からない状況でも運営に尽力してくださった高体連の先生や色んな方々に感謝しています。ちょっと良い選手が揃っているので、今年は全国に出る機会を頂ければ良いかなと予選に挑みました。ただ、大阪は個性的なチームが揃っているので、一戦一戦手抜かりなく戦わないと、どこに落とし穴があるか分からないとも思っていました。苦しいゲームが多い中、練習してきたセットプレーに助けられながら、一つひとつ勝ち上がっていきました。準決勝で阪南大高さんと対戦した時は、負ける気がしないけど、簡単に勝てる気もしないゲームで、案の定、先制されました。子どもたちには『大丈夫だから』と伝えていたのですが、後から子どもたちも焦っていたと聞きました。でも、そんな様子は見られず、勢いに乗って逆転することができました。難しい試合になった決勝もCKからの得点で、トーナメントはセットプレーが重要だと痛感しました。関西の代表校では唯一、シード権が貰えました。お正月は、おめでとうという気持ちで過ごせるので少し安心しています。是非、皆さんは1回戦を頑張ってください(笑)」

山辺高(奈良)・浅見卓部長
「奈良県は奈良盆地に色んな物が集中しているのですが、山辺高は大和高原にあります。奈良県でも非常に知名度が低い高校で、山辺高を知らない高校生もいます。生徒数184名と非常に小規模な学校ですが、サッカー部の在り方が、普通の学校教育の部活動とは違っているのが特徴です。普通は、高校に入学してからサッカー部に入学するのですが、山辺高サッカー部の場合は、まず提携するボスコヴィラサッカーアカデミーに入部が決まります。彼らが、山辺高を受験してくる形です。サッカーの指導も私たち高校の教員がするのではなく、ボスコヴィラさんがしてくれています。リーグ戦、インターハイ、選手権は山辺高サッカー部として出場し、我々もベンチに入ります。選手は近隣の廃校になった小学校を改装した寮で生活をしています。夜にミーティングも可能ですし、栄養面でも管理栄養士さん指導の下、バランスの良い食事を摂っています。創部4年目での初出場に、みんなが驚いています。選手個々で見れば恵まれた体格を持った選手はいません。他校とは違い、180cmを超える選手は二人だけです。凄い能力や凄い技術が持った選手がいるわけでもありません。予選決勝で当たった五條高さんのように一人で突破できる選手に対抗するために、1対1では厳しいので、かなり戦術を徹底してきました」

神戸弘陵高(兵庫)・谷純一監督
「昨年度は4年ぶりに選手権に出ることができましたが、4年も空いてしまうとスタッフも選手も感覚がズレていた部分がありました。今年は2年連続での出場な上、昨年度を知る選手がスタメンの半数以上を占めます。なので、予選の決勝で勝たせて貰ってからも、私も選手も落ち着いて準備ができています。今年の予選は、32得点1失点。歴代のチームと比べても、攻守のバランスがとれたチームだと思っています。守備では、昨年度は右SBで出ていたDF橋本翔和(3年)をCBにコンバートしました。彼は3年生になって自覚が出て来て、コーチングをしたり、最終ラインでリーダーシップを発揮してくれるようになりました。中盤でいうと、MF松井治輝(3年)がJ3のFC今治に内定しました。彼も、昨年の全国大会を経験している選手です。ボール扱いが上手かったのですが、戦う部分やゲームで力を発揮する部分がひ弱でした。ただ、今年になり弱点だった守備意識が改善され、攻守において力を発揮できる選手になりました。前線は、FW徳弘匠(3年)。彼はスピードが秀でていて、大学生が相手でも突破できます。予選の準決勝でも2点を奪うなど、大事な試合でしっかりゴールを決めてくれています。全国大会でも活躍したいと思っていてくれているみたいで、しっかりトレーニングしてくれています。僕が全国で活躍して欲しいのは、2年生の田中祉同。昨年の全国大会では、1年生ながらチームの攻撃を牽引してくれたのですが、今年の予選は0得点。自分にプレッシャーをかけてしまい、なかなかパフォーマンスが上がらなかった。昨年は坊主で試合に出ていたのですが、2年生になって髪を伸ばし始めたから点が入らないんじゃないかと本人が思い、最近また短髪に戻しました。そうしたら、面白いもんで、もう一度点が獲れるようになりました。彼と徳弘が活躍してくれたら、チャンスが多く作れるのではと期待しています。昨年は、ベスト16で帝京長岡さんに0-5で大敗しました。今年は同じベスト16で、履正社と対戦し、近畿勢同士熱いゲームがしたいです。そのためにもまず初戦に勝って、勢いをつけたいです」

初芝橋本高(和歌山)・阪中義博監督
「3年ぶりの出場になるので、選手は全国大会を知りません。知っているのは、私とコーチのみです。今年のチームに関しては、正直なところ昨年よりも力が落ちると思っています。昨年は、『大丈夫だろう。全国に行けるだろう』という精神状態で予選に入ってしまい、負けてしまった。その想いを想って、今年はキャプテンのFW樫村宝(3年)を中心に頑張ってくれたのかなと思います。あと、今年はスーパープリンスリーグに出場でき、履正社さんや京都橘さんに色んな勉強をさせてもらい、力をつけました。予選でも力をつけていったのですが、簡単には勝たせてくれないチームが多かったです。結果的には勝ち上がれたのは、スーパープリンスで力をつけさせてもらえたからだと思っています。全国大会で和歌山県勢は、10年間初戦を突破できていません。10年前にうちが丸岡高校に勝ってからです。僕自身も7回の出場で、1回しか勝てていない状況なので、選手には必ず初戦を突破したいと伝えています。私も、初戦突破を目指して選手権に挑みます。そして、勢いをつけながら、3回戦で当たる可能性がある青森山田との対戦できるのを楽しみにしています」

―初戦で当たるチームの印象について
近江・前田高孝監督
「1回戦の相手が、日大山形さんで、東北のチームらしいパワフルでスピーディーなチームという印象があります。そうした相手のストロングポイントを出せないようにしたい。近江高は身長が低い分、一生懸命戦っていきたいです。あと1か月あるので、しっかり良い準備をして挑みたいです」

京都橘・米澤一成監督
「松本国際とは毎年対戦させてもらっていて、手の内はよく知っています。雪の期間には、うちの学校にも泊まりに来て頂いていています。今年は対戦できていませんが、非常にやりにくいです。やられるパターンとしては、うちがボールを握ってカウンターでやられるというのは分かっているので、それにやられそうだなとしか思っていません。何とかハマらないようにと思っていますし、うちのストロングポイントが出せたらと思っています」

履正社・平野直樹監督
「2回戦からの登場ということで、他のチームよりは少し時間の余裕がありますが、チームとしての余裕はありません。昨年のベスト4だったチームが今年もベスト4の力があるとは限りませんが、帝京長岡さんは埼スタのピッチを経験した選手が残っているので、非常の経験値が高いチームだと思っています。さっきも話したのですが、セットプレーというのがキーポイントになるでしょう。これからお互いに情報戦を繰り広げるでしょうが、しっかりと戦えれば良いなと思っています。まずは本気でサッカーができる時間を大切にしたい。子どもたちが目標にしていた大会に向けて、成長していく姿を楽しみにしたい。駆け引きなしで戦えればと思っています」

山辺・浅見卓部長
「関東一高さんとは練習試合をしており、スタッフ同士もよく知っていると聞いています。どんな試合になるか楽しみです。どのチームも万全の状態で試合に挑めるというのは、なかなかありません。うちのチームでも今は入院している選手や怪我から復帰した選手がいるので、彼らが活躍してくれたらなと思います。初戦までに1か月近くあるので、戦術面でのバラエティーを作れるとも考えています」

神戸弘陵・谷純一監督
「遠野高は選手権の出場回数が29回ということで、我々の倍以上経験を積まれています。しっかり準備をして、試合に入りたいと思っています。どのチームも予選決勝を見てデータを集めたりというのはあると思いますが、やっぱり初戦はピッチで肌を合わせてみないと分からない所があります。選手には落ち着いてプレーするというのを意識して欲しい。また、サッカーでは守る所は守る、攻める所は攻める、そこの切り替えを速くするのが必須になるので、そこの軸を整理させてピッチに送り出したい。初戦できっちり勝って、勢いに乗れたらと思っています」

初芝橋本・阪中義博監督
「初戦で対戦するのは、帝京大可児高です。2週間ほど前に、高校時代の同級生である興國高の内野智章監督から、『夏に対戦したら、0-5で負けたよ』と電話がありました。何なのかよく分からない電話でしたが、わざわざ電話してきてくれたのは強い!というのを強調したかったのかなと(笑)。決勝の映像や色んなゲームを拝見させてもらい、強豪なのは理解しています。ただ、僕がいつも思うことなのですが、相手がどうこうではなく、自分たちが力を出せなければ意味がありません。自分たちがやりたいことを突き詰めるだけかなと思います。その中で力があった方が勝利すると思うので、今日も選手にそうした話をしました。予選決勝よりも良いゲームを1試合でも多くするため、この1か月の練習を見直し、武器を1個でも作って挑めたら良いよねという話をしました。そうした形で初戦を迎えたいですし、どういった相手でも全力を尽くすのが大事だと思います。とにかく和歌山に1勝を届けたいと思います」

―今年の注目選手は
近江・前田高孝監督
「キーマンではないかもしれませんが、25番のGK芝星斗(3年)という選手を挙げたいです。1か月前までCチームでプレーしていたため、県予選もメンバーに入っていませんでした。でも、たまたまAチームのGKがおらず、練習試合に連れていった所、もの凄く良いパフォーマンスをしてくれました。3年間Cチームにいたのですが、コツコツとやってきてくれたのでメンバーに入りました。非常に怖い顔をしているので、ベンチにいれば相手を威嚇できるのかなとも思っています(笑)。」

京都橘・米澤一成監督
「僕がキーマンだと思っているのは3番手であるため、なかなか試合に出ないのですが、21番のGK郷田凪砂(3年)です。彼の人間性は本当に特別で、会って頂ければ良さが分かるかなという選手です。何とか使ってあげたいと思っているのですが、綺麗にミスをしてくれる(笑)。でも、彼は欠かせないというか、チームに絶対いて欲しいなという選手なので、僕の一押しは郷田凪砂です」

履正社・平野直樹監督
「中心でやってくれているのが、キャプテンのMF赤井瞭太(3年)や、ボランチのMF平岡大陽(3年)です。CBにも、DF李泰河(3年)という身体が大きい選手、2トップにもFW神田拓海(3年)やFW李晃輝(3年)がいます。ただ、僕の中では、予選でも途中から出てきたFW廣野大河(2年)やMF竹腰智也(2年)が重要なキーマンだと思っています。彼らは能力が非常に高く、流れが変えられる。竹腰は現時点でも、赤井と平岡に匹敵する力を持っています。赤井が怪我で出られない時期も、平岡と竹腰のダブルボランチで高いパフォーマンスを見せてくれました。スタートでは出ていませんが、僕の中では外せない選手です」

山辺・浅見卓部長
「1年生でキャプテンを務めるFW太田凱翔です。意識が他の選手とは違い、プロになるんだという高い物を持っていますし、予選では9得点を奪い、得点王になりました。中盤では、MF佐藤琉生(1年)。チーム全体を、落ち着かせることができる選手です。守備は、DF森岡侑太郎(2年)が中心。GK志賀隼太(3年)も精神的なチームの中心として、頑張ってくれています」

神戸弘陵・谷純一監督
「キーマンとして挙げたいのは、MF田中魁人(3年)です。この学年が1年生の時に全国総体に出させてもらったのですが、その時にもレギュラーで出ていました。以降もレギュラーで出ていたのですが、同じ中盤の松井治輝がJの内定が決まり、気持ちが落ちて自信を無くしていました。予選では玄人好みのプレーは出してくれたのですが、彼が全国で昨年のように中盤でボール奪取をたくさんしてくれると期待しています」

初芝橋本・阪中義博監督
「注目選手としては、GK藤澤周弥(3年)、DF尾崎功燿(3年)、MF安藤公揮(3年)、西淵啓斗(3年)、FW樫村宝(3年)の5名を挙げます。ただ、予選で最後の切り札として起用しようと思いながら、ゲーム展開的に起用せずに終わった選手がいます。それが、19番のFW土手開理(3年)です。彼は長身で足元もおさまるし、良い意味で変わりつつある。もしかしたら、全国の初戦のキーマンになってくるのではと思っています」

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

TOP