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日体大柏とのビッグマッチで今季初の逆転勝ち!流経大柏は戦国・千葉で勝ちながらより強くなる

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流通経済大柏高が今季初の逆転勝ちで千葉県予選初戦突破

[10.24 選手権千葉県予選2回戦 流通経済大柏高 2-1 日体大柏高]

 戦国・千葉の戦いを通して強くなる――。第100回全国高校サッカー選手権千葉県予選は24日、決勝トーナメント2回戦2日目を行い、優勝候補の流通経済大柏高日体大柏高に2-1で逆転勝ちした。流経大柏は31日の準々決勝で八千代高と戦う。

 プレミアリーグ勢でインターハイ予選優勝校の流経大柏と、関東大会予選優勝校で関東大会でも2位に入っている日体大柏。2回戦で実現した強豪校同士のビッグマッチを流経大柏が制し、初戦を突破した。一週間前のプレミアリーグ・青森山田高戦(0-4)から「調子の良い選手を使う。固定観念持たないで。選手伸ばしたいので」(榎本雅大監督)という理由で先発4人を入れ替えた流経大柏は、ボールを速く、正確に繋ぎ、局面に顔を出すMF松本洋汰(3年)やMF渋谷諒太主将(3年)が絡みながらグループで打開しようとする。

 前半7分にはCB田口空我(3年)の縦パスを起点にFW石川裕雅(3年)が繋ぎ、抜け出したエースFW川畑優翔(3年、U-18日本代表候補)がシュートへ持ち込む。右サイドでテクニックとアイディアを発揮するU-16日本代表候補MF堀川大夢(2年)や、試合を通して抜群のキープ力を表現していた川畑、攻守両面でスピードを見せていた右SB都築駿太(2年)らの個もアクセントにアタックしていた。

 だが、日体大柏は最終ラインの中央に君臨するDF土屋巧主将(3年)がDF神田琉汰(3年)や1年生DF神野匠斗らと連動しながらシャットアウト。最後の局面では必ず土屋がボールを処理するなど、存在感ある守りを見せていた。

 その日体大柏は、攻撃面でもFW鈴木隼(3年)が競り合いで健闘。こぼれ球を繋ぎ、「トレーニングから良かった。ビッグゲームで力を発揮できる」(根引謙介監督)というFW吉田眞翔(2年)が鋭い仕掛けでゴールへ迫る。流経大柏も素早い寄せでボールを奪い返していたが、積極的に仕掛ける日体大柏が先にスコアを動かした。

 前半31分、日体大柏は中央のMF小村晃太(3年)が浮き球パス。これを前線でコントロールした吉田が右足を振り抜き、ゴール左へ決めた。プレミア勢相手に真っ向勝負を挑み、先制点。日体大柏はその後も競るべきところでしっかりと競り、セカンドボールをMF井上貴輝(3年)らが回収しながら試合を進め、1-0で前半を折り返す。

 日体大柏の根引監督も「狙っていたものがある程度出ていた前半だった」と振り返る。ハーフタイムも選手たちから自発的に「まだ終わっていないぞ」という引き締めの声。一方、流経大柏は今季、公式戦で逆転勝ちの経験が一度もなかったチームだ。動揺はゼロではなかったという。ただし、ハーフタイム、早めにピッチへ戻った選手たちは応援してくれる選手たちの姿を見て、決意を新たにする。

 渋谷は「応援してくれる人が大きかったです。それをしっかり見て、その代表11人で出ているんだから、負ける訳にはいかないぞという話をしたら、前に前に行ってくれたので、強気なプレーが出てくれたので良かった」。後半開始から投入されたMF小林恭太(3年)がチームを活性化。スペースへのスプリントなど、前半と比べて明らかに動きの出た流経大柏が日体大柏を上回る。

 後半4分、松本の右足ミドルがクロスバーをヒット。そして、9分には堀川の右クロスをファーサイドの小林が頭で合わせて同点に追いつく。さらに17分、右サイドからの攻撃はボールが流れたが、相手守備陣の一瞬の隙を逃さなかった小林が先に追いつきPKを獲得。これを渋谷が右足で決め、逆転に成功した。

 後半、流経大柏には隙が無かった。2CBの前にポジションを取る渋谷が一段階上のパフォーマンス。ボールを弾き、セカンドボールを相手に与えない。また各選手が役割を徹底し、前に出て相手の攻撃を遮断。そして、また前に出て追加点を目指していた。日体大柏は準備していた長身2選手投入で同点を目指したが、流経大柏はクロスを上げさせる前にボールをカット。全くゴールへ近づけなかった。

 日体大柏は右WB酒井愛輝(3年)がドリブルで切れ込むシーンなどもあったものの、チャンスを作れず。終了間際、右CKをファーサイドで拾った土屋がDFをかわして左足で狙うも、相手の守りに阻まれた。このまま試合終了。流経大柏が今季初の逆転勝ちで選手権のスタートを切った。

 流経大柏の榎本監督は「これでまた強くなれると思いますよ。ビハインドを跳ね返したのが大きい」と頷く。今年は全国トップクラスの陣容である一方、逆境を跳ね返す力が不足していた。だが、この日、先制されながらも冷静に対応し、逆転勝ちしたことはチームの成長だ。まだ差のある青森山田に追いつき追い越すためには、修羅場を何度も乗り越えながら成長するしかない。次戦が伝統校の八千代高でその後も宿敵・市立船橋高などが待ち構える戦国・千葉のトーナメントは間違いなく成長できる環境。「きょうまた伸びた選手もいる」(榎本監督)という戦いを積み重ねながら、成長しながら、日本一への階段を上っていく。

(取材・文 吉田太郎)
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