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初V狙う長野日大がアグレッシブな戦い。1年間で3敗の都市大塩尻撃破!:長野

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PK戦を制し、喜びを爆発させる長野日大高イレブン

[10.30 選手権長野県予選準決勝 都市大塩尻高 2-2(PK3-4)長野日大高 サンプロアルウィン]

 第100回全国高校サッカー選手権長野県予選の準決勝が30日に行われ、都市大塩尻高長野日大高が対戦。2-2で両者譲らずPK戦までもつれた一戦は、長野日大が4-3で勝利し、決勝行きを決めた。

 結果としてはPK戦での勝利となったが、長野日大はプラン通りの試合展開に持ち込み、初の選手権出場に王手をかけた。都市大塩尻との対戦はこの1年間で4回目。1度目の対戦となった昨年11月の新人戦は延長戦の末での敗戦となったが、県1部リーグでの対戦では2度大敗していた。この日は、中澤真明監督から「同じ相手に1年間で4回も負けてはいけない」とハッパをかけられたこともあり、立ち上がりから長野日大の選手はアグレッシブなプレーを繰り広げた。

 ポイントとなったのは、2点。一つは守備面で、当初は格上と言える相手に対し、中澤監督含めたスタッフは引いて守る守備を考えていたが、「長野県の中で引いて守ることはしたくない」と選手から声が上がったため、前線からの守備を徹底。プレッシャーをかけて相手DFに蹴らしたボールをMF堀内湧斗(2年)らが回収し、リズムを掴んだ。 

 もう一つは攻撃の面で、準々決勝の戦いぶりから、都市大塩尻のDF陣は背後へのボールが苦手だと分析。奪ったら素早く、背後を狙うFW傘木大翔(3年)と笠原大靖(3年)の2トップへと配給し、チャンスを伺った。

 狙いが見事にハマり、前半4分には自陣でボールを持ったDF若林尚弥(2年)が前方にロングボールを配球。傘木が見事なトラップからフリーで抜け出すと、最後は笠原が決めて、長野日大が先制した。13分にも左サイドでボールを奪ったMF石黒崇成(2年)が前方のスペースにスルーパス。タイミングよく飛び出した傘木が右ポストに当てながらも、左足シュートを決めて、2点差とした。

 狙い通りの戦法が見事にハマったが、「点を獲るのがかなり早過ぎた」(中澤監督)。主将のMF徳竹奏太(3年)も「2点目を先に獲れるというのは、思ってもいなかった」と振り返る。出来過ぎとも言える試合展開によって歯車が少しずつ上手くかみ合わないようになった。28分には都市大塩尻MF村松空清(3年)のFKから、FW中嶋総太郎(3年)にヘディングシュートを決められ、2-1で前半を終えた。

 後半は、途中から入った相手MF直井洸太(3年)に手を焼き、前半以上に我慢の展開を強いられた。自陣まで持ち込まれても、「ゴール前の粘り強さは、うちのチームの強み」と話すDF山崎翔真(3年)と若林のCBコンビを中心にゴール前で身体を張った守備を続けたが、後半37分には相手エリアでFKを献上。GK遠藤樹(3年)のロングキックから、FW中楯力仁(2年)にヘディングシュートを決められ、延長戦へと突入した。

 前後半計20分間の延長戦でも決着は着かず、勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。ここで見せ場を作ったのは、GK藤澤龍駒(3年)。中澤監督は、PK戦になれば反応が速いGK西澤朋弥(3年)を投入するつもりでいたが、交代枠をフルで使っていたため、カードを切れなかった。一方で、最近の練習で当たっていたこともあり、藤澤を信用して、PK戦へと送り込んだ。見せ場を得た藤澤は、見事に相手4番手のキックをストップ。続く5番手のキックは枠から外れ、長野日大が勝利した。

 長野日大にとって、決勝進出は2年ぶり3回目。前回を知る3年生はほとんどがスタンドから応援していたため、初めてのチャレンジだが、選手は緊張よりも楽しみな気持ちが強い。「自分たちがやってきたことを信じて、ピッチの上で楽しんでやれれば、勝てると思っているので、楽しくやることを忘れずにやりたいです」と話すのは、主将の徳竹。準決勝同様、アグレッシブに戦い、初の選手権出場を掴み取る。

(取材・文 森田将義)
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